それで、できないわが子を見て許せなくなってしまうのです。そして、「この子は怠けている。今のうちに直さなければ。ちゃんとしつけなければ」という使命感に燃えて、叱り続けることになります。私見では、いちばん多いのが、「生真面目な母親が、だらしのない男子を許せない」というパターンです。
いかがでしょうか? どなたも心当たりがあるのではないでしょうか? そして、これをお読みの読者の中にも、子どもの頃に比べられて嫌な思いをしたことがある人は多いのではないでしょうか? 比べることで親も子もともに不幸になります。比べることはすべての不幸の源なのです。
「一歩下がり法」も効果的
ですから、「もう比べない」と不退転の決意をしてください。比べそうになったら「比べない。比べる病、ストップ」と自分に言い聞かせましょう。そして、その子自身をよく見て、次のような方法を実行してください。
先ほどのMさんのところで少し触れたように、その子自身の頑張りと成長を見つけ出して褒めることが大事です。ほんのちょっとのことでも、できて当たり前と思わず、ちゃんと口に出して褒めてあげましょう。
●その子自身のよい部分を褒めて応援する
Sさんのように図工が好きならそこを褒めて、さらに深められるように応援してあげましょう。親の応援があればさらに得意になることができて、自信が持てるようになります。
●“一歩下がり法”で、現状を「ありがたい」と思い直す
「走るのが遅い」と思ったら、「走れるだけでもありがたい」と思い直してみましょう。「勉強ができない」と思ったら、「文字が読めるだけでもありがたい」と思い直してみましょう。親の欲で勝手に一歩進みすぎていたのですから、その分を一歩下がってみるのです。すると、今あることが当たり前ではなく、ありがたいことなのだということがわかります。本当は、わが子が生きてくれているだけで、ありがたいことなのです。
●リフレーミングで短所を長所に言い換える
宿題をやらなくても平気で遊ぶのは、親には「怠けもの」とか「ずるい」という短所に見えます。でも、物事を見る枠組み(フレーム)を変えれば「神経が図太い」ということです。「マイペース」は他人に左右されず自分のペースで生きられるということです。「授業で発表しない」は、物事に慎重で軽々に行動しないというです。
リフレーミングについては過去の記事(「いい子」「悪い子」すべては"親の決めつけ"だ)もご参考にしてください。
最後に付け加えます。「比べる病」のもたらす不幸は子育てに関わることだけではありません。「比べる病」は、私たちの人生の諸事万端における不幸の源です。今のあなたが苦しいのは「比べる病」のせいではありませんか? もしそうなら、「もう比べない」と決意して、先ほどの4つの方法を自分自身に対して実行してください。
「いや、そうではない」と言う人もいるかもしれませんが、もう一度よく振り返ってみてください。というのも、私たちは自分自身も気がつかないまま無意識のうちに比べているからです。
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