「ものづくり大国」日本の輸出が少なすぎる理由 「生産性、輸出」と企業規模の知られざる関係

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

本連載の第1回(「永遠の賃上げ」が最強の経済政策である理由)では、「日本はこのまま何もしないと、構造的な需要減少が進み、デフレ圧力がますます強くなる」と警鐘を鳴らしました。

人口は「不動産」を通じて物価に影響を与える

人口が減れば、人間の数に依存する業界では需要が確実に減ります。最も典型的なのが住宅です。日本ではすでに空き家問題が社会問題化していますが、空き家が増えているのは、住む人間が少なくなっているからにほかなりません。

住む人間の数が減り、構造的に需要が減っているので、たとえどんなに日本銀行がお札を刷って需要を喚起しようとしても、需給は戻りません。需給のバランスが崩壊すると、ますますデフレになりやすくなります。

実はこの問題は、国民の平均年齢と深い関係があります。銀行からお金を借りて家を買う人は40代までが大多数で、社会が高齢化すると、銀行からお金を借りる人が少なくなることがわかっています。

ですから、人口が減らなくても、高齢化が進むだけで住宅の需要は構造的に減ります。全世界的に、年をとると消費額が減る傾向が確認されています。高齢化が進むと住宅の需要が特に大きな影響を受けるので、銀行から借り入れをする人が減ります。これも世界中で共通の傾向です。

海外のある研究では、人口増加とインフレには強い相関があることが報告されています。そして、人口増加が全体物価の上昇をもたらすプロセスで、最も大きな影響を与えるのが「地価」だという結論が発表されています。

次ページ人口が減っても、不動産は急には減らない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事