アラフィフ男性は専業主婦の妻に稼いでもらえ 主婦が年収100万円以上稼ぐのは本当に損か
そうこうしているうちに、いつしか話題は、奥様へと移りました。2人のお子さんの養育のために専業主婦をしてきた奥様は、2年前から近所の学習塾で採点などのパートをしているそうです。
ご主人曰(いわ)く、「子供の教育にとても熱心だった妻は、今ではパート先でも頼りにされているようで、社員にならないかと言われているんです。なんか僕より期待されている人材って感じですよ」と誇らしげです。奥様も子供に勉強を教える仕事にやりがいを感じているとのことでしたが、同時に「夫の扶養から外れることのデメリットのほうが大きいのでは」と、二の足を踏んでいました。
実際、最近は「いつまでもパートのままでいるのがいいのか、否か」と、同年代の主婦の間でも話題になることが多いそうです。結局は「扶養のまま」という結論になるそうで、今回は奥様に「本当のところはどうなのか?」と質問されました。
簡単に言うと、もし年収100万円なら、税金を支払う必要がありません。給与所得控除が65万円、基礎控除が38万円なので、課税所得が0円となり所得税がかからないからです。また、社会保険加入も不要ですから、当然社会保険料の負担もありません。
奥様は過去25年間、第3号被保険者でした。夫の扶養になっているこの間、自ら保険料を払わずに老齢年金を増やすことができます。国民年金から支給される老齢基礎年金は、1年加入することにより約2万円の終身年金となりますから、この間で約束された老齢年金は約50万円です。ご主人と同い年の奥様が、60歳まで今まで通りパートを続ければ、保険料免除のまま、6年間で約12万円の終身年金が自動的に付加されます。
筆者が「実は奥様の保険料は、ご主人が負担しているのではなく、第2号被保険者(会社員、公務員)全体で負担しているんです」とお伝えすると、少しけげんそうな顔をされました。扶養されている妻が免除されている額は、国民年金保険料月1万6340円(平成30年度)に相当します。過去25年分だと約500万円にもなります。
保険料を払っても、払わなくても同額の終身年金を得られるのですから、「やっぱり扶養のままのほうが、絶対得ですね」という奥様の感想はとても素直なものでした。
主婦が正社員になったら「夫婦では損」なのか?
では、例えば、月20万円、年収にして240万円で正社員となった場合はどうでしょうか。年収が130万円を超えると、社会保険に加入します。健康保険、介護保険、雇用保険、年金の保険料は、給与の約15%ですから36万円です。給与所得控除90万円、基礎控除38万円を合わせて年収から差し引くと、課税所得は76万円となり、支払うべき所得税は3万8000円です。
妻の働き方は、夫の税金にも影響します。妻の年収が100万円だと、夫が受けられる配偶者控除は38万円ですが、年収が240万円だとその恩恵が受けられません。ご主人の場合、負担すべき所得税率は20%ですから、7万6000円の増税となります。
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