日経平均は再びあっさり2万円を割れるのか 市場には急速に「弱気論」が台頭している

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しかも現在と、チャイナショックやブレグジット(英国のEU離脱)があった2015~2016年とは環境が違う(今の方が良好)というのが筆者の見方だか、逆に「2016年時より今の方が厳しい」との見方も増えている。

不透明感はかなり織り込んだ海外事情も、さらに不透明感が増せば買いにくいだろう。NYダウも直近安値2万1000ドル台から2万5000ドル台に戻したタイミングで、2月中メドにと期待した米中首脳会談がなくなり、欧州委員会によるユーロ圏の2019年実質経済成長見通しの1.9%から1.3%への大幅下方修正で、米中不安だけでなく、欧州の景気先行き不安も大きくなっている。世界貿易量を象徴するバルチック海運指数も、昨年7月24日の1774ポイントから先週木曜日には610ポイントとここまでの安値を更新した。これもまた買えない理由だ。

弱気になっていると「買い場」を逃す

では投資家はどうすればよいか。下がりそうだから売ればよいのか。ここで経済現象を表す別の指標であるLME(ロンドン金属取引所)の銅先物価格を見ると、昨年6月7日に7332ドル/トンの高値を付けた後、今年1月3日には5736ドル/トンまで低下したが、8日現在は6220ドル台となって戻り基調だ。また原油の代表的指標であるニューヨーク・マーカンタイル取引所で扱われるWTI原油先物も別の需給要因はあるものの、昨年クリスマス安値42.5ドル/バレルからちょうど約10ドル戻ったところでモミ合っている。

アメリカの利上げは目先なくなったが、ドル円は売られておらずさほど円高には進んでいない。同国の金融政策(FRBのバランスシート、FF金利調節等)の選択肢は豊富だ。利上げ停止だけでなく、FRBの資産規模を4兆ドル割れあたりで安定させることになると筆者は見ている。

一方、日本国内に目を向ければ、先週末発表の1月景気ウォッチャ調査では現状は12月の48.0から45.6に低下した。だが先行きは48.5から49.4に回復している。また、現在のドル円レートなら日本の今期企業業績は増収経常増益だ。最終利益は減益だが、日経平均予想EPS(1株当たり利益)は1700円台前半で下げ止まっている。今週の予定では、10-12月期GDP速報値が重要だが、自然災害が多発した7-9月期からは回復していると思われる。不安定な世界情勢の影響で予想は前期比年率+1%前半の低調な数字だが、上振れも見込まれる。

2万1000円の壁突破のカギになるのはやはり個別株だ。テーマ株には事欠かない。サンバイオは売られたが、筆者は今年の柱の1つは薬品株だと思っている。またいつのタイミングでも突破口は「新しい技術」だ。それは、自動車と電気関連だけにあるわけではない。今年は5G元年だ。または、花王(30期連続増配)型の優良銘柄を地道に探すと言う方法もある。とにかく買いにくいところを買った者が勝者になる確率が高いことは、歴史が証明している。今はまさに買いにくい所だが、弱気になり過ぎると買い場を逃すと思っている。

以上を勘案、今週の予想レンジは2万円~2万0700円とする。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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