「たばこはカッコいい」が通用した昭和の記憶 「子供の喫煙」や「電車内喫煙」にも寛容だった

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昭和時代の映画やドラマなどでは、仕事中もプカプカと喫煙するシーンが出てくる。それがまた格好よく(特に刑事ドラマ)、しかもうまそうに描かれていて、若者たちはその姿に憧れを持った。タバコを吸うのはおしゃれであり、タバコぐらい吸えないのは格好悪いことだった。

小学校でも教室でタバコを吸っている教師がいた。それどころか、くわえタバコで授業をする教師もいたという。学校にもよるだろうが、職員室はタバコで煙っていた。今思えば教育に非常によろしくない環境だったと言える。

レストラン、喫茶店も現在のように禁煙席などはなく、寿司屋のカウンター席でも平然とタバコを吸っていた。ほかにも病院の待合室には灰皿が設置してあったし、タバコを吸いながら診察をする医師がいたとも聞く。

映画館内(いちおう禁煙だったが)で映画を見ながら吸っている人もいて、ひどいときにはスクリーンが煙って見えた。要するに、ガソリンスタンドなど引火の恐れがあるところ以外なら、ほぼどこでもタバコが吸えた時代だったといえよう。

以前は中高生も気軽に喫煙できた

もう1つの喫煙率の高さの理由は、未成年の喫煙に現在では考えられないほど寛容だったことだ。誰でもタバコが買えた環境にあった。昭和育ちのなかには、親に頼まれてタバコを買いに行ったという人もいるのではないだろうか。

筆者は子どものころ、父への誕生日プレゼントとしてタバコを1箱贈ったことがあったが、1人で近所のタバコ屋さんに買いに行っても普通に売ってもらえたものだ(逆に「偉いね」などと褒められた)。

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それは小さい子どもだけでなく、中高生ぐらいでも平気で売ってくれた店が少なくなかった。買うときだけではない。町中で喫煙している未成年者に対して、警官以外の大人はほとんど無関心だったと言える。

学校の教師ですら、見て見ぬふりをすることも少なくなかった。親戚のおじさんや近所のお兄ちゃんにタバコをすすめられるなんてことも普通にあったし、未成年の喫煙=悪と大人が厳格に捉えていない時代だった。

残念ながら昭和時代のデータは見当たらないのだが、「一般社団法人 中央調査社」が1996(平成8)年から2010(平成22)年までの未成年者の喫煙経験についてのデータを公開している。

中学男子で比較してみると、1996年は34.5%だった喫煙経験が、2010年では10.2%の3分の1まで低下している。狭い喫煙室に押し込まれて喫煙している大人たちの姿を見れば、未成年のタバコへの憧れも失うせてしまうというものだろう。

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