トヨタが「国際レース」に力を入れる意外な理由

「走り」と「IT」を担う友山副社長を独占取材

――話は変わりますが、友山副社長はGAZOO Racing Companyの代表である一方、コネクティッドカンパニーの代表でもあります。この2つはまったく別の仕事なのでしょうか?

たとえば今、ITの入ってないレーシングカーはないですよね。WECなんてIoTのカタマリですよ。ITやIoTがクルマの非常に重要な基盤になってくるのは避けられないことです。その中で社長が言うのは「IT屋がクルマをつまらなくしてしまうようではおしまいだ」ということです。「だからお前がITとモータースポーツと両方やれ」と言って、今こうなっているんですよ(笑)。

「今はとにかくドライバーの声に耳を傾ける」

――とても納得できますね(笑)。かけ離れていそうな両方をやることに大きな意味がある。ユーザーも、つながるクルマってこんなに面白いのかとわかったり、ITとモータースポーツのつながりを自ら経験できたりすると、意識が変わってきそうです。

GRスーパースポーツみたいなクルマは、普通のディーラーではメンテナンスできません。つねにそのクルマの情報をセンターで管理して、何かあったらヘリコプターで部品をお届けして、という世界ですよね。その意味でもコネクティッドは非常に重要な要素です。そして自動運転に関しても、トヨタでは「ガーディアン」と言っているんですが、人を守るのと同時に人の持っている能力を引き伸ばすものにしたい。

CES(1月にアメリカ・ラスベガスで開催された世界最大級の家電見本市)で発表しましたが、たとえばドライバーがスラロームをしたいんだとAI(人工知能)が感知したら、できる限り安全に速くできるようにしてあげる、みたいなイメージです。そういう技術を人とうまくつなぐ、人をリスペクトすることが重要で、それができればスポーツカーはもっと面白くなりますよ。

――あくまで人間が前に出て、それを機械や電子制御がさりげなくサポートする。そのためには人間をより深く知る必要がありそうですね。

社長は、レースはドライバーズオリエンテッド。エンジニアが前に出るようなモータースポーツはありえないと言います。それはトヨタの昔のモータースポーツからしたらありえないことで(笑)。

過去を悪く言うつもりはないですが、昔はやっぱりエンジニアオリエンテッドで、ドライバーは1つの道具でした。今はとにかくドライバーの言葉に耳を傾ける。そして現地現物でメカニック、エンジニア、ドライバーが一体となってクルマを仕上げていく。それが普通にできるようになったのは、この1~2年ですよ。それがWRCやWECでの優勝につながったと思います。

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