当然、学生側は会社がつくる採用ページについても同様の見方をしている。売り手市場の中、採用担当者も「いかに学生に魅力的に映るか」に注力しており、イメージ先行の姿勢にますます磨きがかかっている。OG・OB訪問やリクルーターもリアルな会社の実態をつかむのには有効とされているが、どこまで本音で話しているのか疑心暗鬼になる学生は少なくない。
「学生は冷静で、企業が発信したものではない情報から実態が把握できるものを見にいこうと動いている」(ヴォーカーズ・増井社長)。そこで活用されるのが転職口コミサイトということになる。「学生がチェックしているのは、面接などでは聞きにくいこと。エントリー予定の企業のコメントは、上から下まで見ているはず」と、エン・ジャパンの小笠原氏もそう分析する。
説明会の開催案内やエントリーシートの受付などは、就職情報会社のナビサイトを通して行うケースがほとんどのため、利用が減ることはないが、就活生が情報ツールを使い分けていることは明白だ。
さらに、口コミの”精度”があがっていることもある。かつては、転職する人が自社に批判的なことを書き込むことが少なくなかったが、「自分の体験をシェアすることが一般化する中で、就活や転職活動をしている人のために善意で書き込む人も増えている。実態とは異なる、批判的な書き込みに対して、『それは違う』とコメントする人もいる」(エン・ジャパンの寺田執行役員)。
情報ツールを使い分けする就活生
学生側にも利用者が広がってきたことで、運営側は書き込みのチェック体制を強化している。Vorkersではレポート回答ガイドラインを設け、虚偽の投稿や、事実確認ができない噂などについての書き込みを禁止している。コメントはつねにチェックし、会社が手配した組織的な書き込みなどがあれば、それを削除しているという。
口コミサイトは匿名で書き込まれるため、どこまで情報を信頼するべきかという問題はある。ただ、応募動機でも、口コミサイトの評価を決め手にする人も出てきているといい、就職活動のプロセスのなかに組み込まれていることは間違いない。
人事担当者からは口コミサイトを見て、会社の状況をしっかり把握してから入社してもらった方が、ミスマッチは少ないという声もある。志望企業を見た目やイメージではなく、本当の会社の姿を見て、すべてを納得して決める時代になってきたと言えるだろう。
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