「ボヘミアン・ラプソディ」韓国大人気の背景

配給会社は1000万人動員にむけイベント企画

韓国の放送禁止曲の第1号は、1951年3月1日付けで執行された歌手ナム・インスの「기로의 황혼(岐路の黃昏)」だったという。昔は政府への批判やクーデターを思わせる歌詞など政治的な理由を中心に禁止されていたが、その後、性的な表現ととれる歌詞や過激な内容の曲が登場し、このような曲なども禁止対象となっていった。

そんな経緯があったにもかかわらず、なぜ韓国でも『ボヘミアン・ラプソディ』はこのように大ヒットしたのか? 1つの要因としては、日本と同様にクイーン世代はもちろん、20〜30代にもこの映画が受け入れられた点がある。クイーンの音楽を聴いていた世代は劇中曲やその曲のビハインドストーリーを楽しむ一方、若者世代はフレディー・マーキュリーの生き方や流されない考え方、自分を突き通す生き方に共感しているようだ。

実際、2018年11月24日に行われたフレディー・マーキュリー没後24周年記上映では、フレディーのコスプレをして来場した客やライブシーンでの旗を振り回すパフォーマンスをした客は皆若い世代だった。映画のヒットに合わせて、クイーン・マンジンチャン(퀸망진창)やクイーン・ボン(퀸뽕)、クイーン・チグァンイ(퀸치광이)など、映画を見た若者を中心に「クイーンに魅せられてハマってしまった人」を指す新造語がネットを中心に誕生。また、3面のスクリーンを駆使し正面+左右のスクリーンで映画を楽しむScreenXでの上映も若者を中心に人気を集めた。

一方、日本では「応援上映」と呼ばれる上映中の手拍子、拍手や一緒に歌ったりコスプレ入場が可能な上映が増えている。1度目は一般上映で映画を見た観客が、2度目、3度目は「応援上映」で映画に自ら参加して鑑賞するということも多い。また、一般的にアクション映画やアニメーション上映に向いてる4DXでも上映されている。さらには音楽ライブ用の音響機材を使って大音量で上映する「爆音上映」も人気だ。アメリカでも「Sing Along」と呼ばれる「応援上映」が増えている。劇中に曲が流れるとカラオケのように歌詞字幕が登場し、観客が一緒になって歌える上映方法だ。各国の動向を見てみると、映画に観客が参加するスタイルが広く受け入れられているように思う。これからの映画館の在り方は観客との一体化が鍵となっていくのだろう。

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