VWとの提携解消から2年、スズキの今後 長期化した争い
スズキは12月10日、独フォルクスワーゲン(VW)が保有する株を買い戻すべく、自己株式の取得を再決議した。12年11月に設定した自己株の取得期間が10日で終了したため、14年12月9日までを新たな期間とする。スズキは2011年11月に筆頭株主であるVWとの資本提携を解消。所有するスズキ株の放出を求めたが、VWはこれを拒んでいる。現在、国際仲裁裁判所で係争中だ。
両社は2009年に資本提携し、VWはスズキ株の約20%を約2200億円で取得。当時は自動車で世界第3位のVWと、小型車のノウハウに長け、インドで高いシェアを持つスズキがタッグを組むとあって、「強者連合」ともてはやされた。
だが、その関係はわずか2年で破談とした。きっかけは、VWが11年に出した年次報告書で、「財務上、経営上に重大な影響を与えることができる会社」として持分法適用会社に位置づけたことだ。対等の関係を求めてきたスズキは、これに不信感を募らせた。鈴木修会長は、当時の会見で「話が全然違う」と語っている。
スズキがVWから提携のもくろみ通りに技術情報を得られなかったことも、破談の要因の一つだった。特にエコカー分野では密接に協力したうえで、最終的にはスズキブランドの新車を開発し、販売することを視野に入れていた。が、スズキがVWの技術情報を利用するには大きな制約があったという。
単独での環境技術開発を加速
仲裁を申し立ててから丸2年が経った今、スズキは単独でエコカー技術の開発を進めている。
VWからの技術情報利用を狙っていたハイブリッド(HV)についても、開発を強化。具体的には、減速中にエンジンが動き続ける力を利用して発電する「エネチャージ」という独自開発の技術を発展させたものだ。12月初旬に行われた東京モーターショーには、小型SUV「ジムニー」をベースに新しく開発したハイブリッド車「エックスランダー」をすでに参考出品している。
5年後をメドにHV技術を実用化し、主に東南アジアなどでの拡販を狙う。スズキの場合、現在海外での4輪販売台数の約半数をインドが占めており、この一本足体制からの脱却を図りたい考えだ。
今回の自己株取得の再決議について、スズキは「(提携を解消し、株式の返還を求めるという)これまでのスタンスと変わらない。仲裁手続きが終了するまで、この件の詳細についてはコメントできない」としている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら