外国人が震える旅館の実は怖い「おもてなし」

プライバシーがダダ漏れ過ぎる問題

守られるはずのプライバシーが、このように堂々と公開されることをありがたいと思わない人も、世の中には大勢いるはずだ。「海外生活が長いので久しぶりに歓迎看板を見ましたが、今でもある習慣なんですね」と、少し皮肉のつもりで旅館のスタッフに話しかけると、「これこそ日本の『おもてなし』ですから」と胸を張って答えていた。

セキュリティの観点からも、客の中には「自分がその旅館にいることを外部に知られたくない」という人もいるはずなのだ。それなのに、なぜ日本では先にそれを個々に尋ねないのだろうか?

太っている人を揶揄するのも「アウト」

ポリティカル・コレクトネス(以下、ポリコレ)と聞いて、それがなんだかハッキリ答えられる人は少ないかもしれない。「デジタル大辞泉」によると、「人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない中立的な表現や用語を用いること」とある。しかし、多種多様な民族や宗教背景を持つ人で人口が構成されているとは言えない日本では、理解しにくい部分があるかもしれない。

移民や性の多様性に寛大であろうとする欧米諸国ではもともと、公平や中立さに欠ける発言や、差別や偏見が少しでも含まれる発言は、人として口に出してはいけないという風潮はあった。が、特にアメリカでは、ポリコレは前オバマ政権下において、社会の「常識」として定着した感がある。

例えば、性の多様性への理解は、ポリコレの浸透によって劇的に高まった例と言えるだろう。アメリカ連邦最高裁判所は、2015年に合衆国憲法下での同性婚を合法化したが、こうした動きは、全世界的にマイノリティーの人権理解に対して大きく貢献したと言える。

ポリコレによる新しい常識は、かつてのアメリカの常識を「非常識」にもした。例えば、以前はアメリカでも、「太りすぎは自分をコントロールできない証拠」などと、よく言われていた。

が、これはポリコレ的には正しくない。人の体型に関する発言をすることは、今のアメリカでは許されないからだ。今は、「どんな体型であっても、すべての人間は美しい」という考えが、社会では正しいものだと認識されている。

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