発達障害の人の余暇から見える「重要な視点」 「選好性」の違いと捉えるとうまくいく

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趣味についてはよくしゃべりますが、それ以外の話や、それ以外の交流は別にしなくてもよいという付き合い方をしているのです。

同じアニメを好きな人同士が、そのアニメの映画を一緒に見に行くということはあります。しかし、そういう人たちが「今度一緒にお茶でもしようよ」と誘い合う姿を見ることは、それほど多くありません。

その場に参加している人の多くにとって、アニメそのものを見ることや語ることが主要な目的であり、対人関係が主な目的になっていないということは、共通しているのです。

会話がなくても、一緒にいれば親友

発達障害(とくに自閉スペクトラム症)の特性がある人たちの社交の仕方は、そういうスタイルだとしか言いようがありません。かといって、人が嫌いだというわけでもない。ただ、活動そのものを目的として余暇を過ごすというのが、彼ら彼女らのスタイルなのです。

そのような余暇活動の支援をしているなかで、自閉スペクトラム症の特性がある人から「親友がいる」と言われたことがあります。その親友同士は一緒に映画を見に行くのですが、映画館までの道すがらは無言だそうです。お互いに仲間だと思っていれば、別におしゃべりをしていなくても、仲間だということです。

一般の人は、映画を誰かと一緒に見に行ったとき、相手がまったくしゃべらなかったら、親近感がないような印象を持ち、不安になるのではないでしょうか。会話が続かないというだけでも、相手とよい関係が築けていないと考える人もいるでしょう。でも、自閉スペクトラム症の特性がある人の中には、そのような不安を持たずに仲間と交流する人もいます。

そしてこれは、どちらがよいか悪いかという話ではなく、それぞれにスタイルがあるということなのです。

通常とは違う交流ということで、「黒ひげ危機一発」で遊んだときのエピソードを紹介しましょう。

黒ひげの人形を樽の中に入れて、ひとりずつ順番にその樽に剣を刺していくというゲームをするとき、一般の人たちは「誰が刺したときに人形が飛び出すだろうか」というワクワクとドキドキの共有を楽しんでいます。

一方、自閉スペクトラム症の子どもたちが、独特の遊び方をしていたことがありました。ひとりずつ順番に剣を刺すのではなく、ひとりが樽を持って剣を刺し続け、人形が飛び出したら次の子に渡すという遊び方です。

その子たちが興味を持ったのはゲームのしくみであり、ドキドキする感情をほかの子と共有することには、興味はなかったのでしょう。

実は成人たちのグループでも、参加者のひとりからルール変更の提案があり、「ひとりずつ人形が飛び出すまで剣を刺し続け、その回数の多さで競いあう」という遊び方に変わったことがありました。

一般の人からみると、ひとりだけが樽を持って剣を刺し、その周りでほかの人たちがそれぞれ好きなことをしている光景は、楽しそうに見えないかもしれません。

しかし、子どもたちも成人たちも、この遊び方を楽しんで、実際に子どもたちは「みんなで『黒ひげ危機一発』ゲームをして楽しかった!」と話していました。

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