整備新幹線、今の活用法では宝の持ち腐れだ

さらなる高速化や貨物輸送などの検討が必要

また、九州においては東九州軸の大分、宮崎方面への延伸が求められているが、四国から豊予海峡を渡るルートも取り沙汰されている。ほかに北陸新幹線敦賀以西のルート決定過程においては、山陰方面との関連も伝えられるなど、各地で政府を動かそうと取り組みが始まっている。

しかし、現段階で言えるのは、北海道新幹線札幌延伸を最後に現状の財源は底を突くということである。仮に具体化するにしても、北海道新幹線が開業し、次に北陸新幹線延伸や西九州ルートの問題が控え、新規区間はさらにその後と予想されている。実際のところはまだ雲をつかむような話である。

一方、その30~40年も先に始まる話をする間、在来線鉄道はどのような姿を呈しているだろうか。こちらは予測をすると、あまり明るい未来は描けない。山谷に阻まれながら明治・大正期に建設されたものも多い過去の遺産の羊腸ルートを、たかだか100km程度の距離が1時間では済まず1時間半から2時間近くを要する例もある。高速道路が四通八達している現在では競争にもならない。大きな設備を最小限の経費で延命し、それこそ最小限の規模の輸送にしか使われない路線も増えた。こうした瀕死の状態に手を打つことなく、やがては鉄道を消し去ってしまってもよいのか。

時速160~200kmのスーパー特急方式を

それに対する1つのアイデアとして、結果的に整備新幹線としては実現しなかった時速160kmないし時速200kmレベルのスーパー特急方式に再び焦点を当ててはどうか。峠道の道路がトンネルによって驚くほど短絡されるように、幹線、亜幹線クラスの在来線に線形の改良を重ねてゆく手法はありうるだろう。また、新幹線への導入を諦めた状態のフリーゲージトレインだが、今後10年、20年のスパンの中で解決の糸口は見つからないものか。あるいは新八代タイプの在来線列車とのシームレスな接続方法を普及させるなど、新幹線と在来線をより有機的に連携させて高速鉄道網が広がることを望みたい。

20年以上前に時速300km運転を行っていた500系新幹線(撮影:尾形文繁)

一方、現段階で開業済み、あるいは建設中の整備新幹線については、より高いレベルへの引き上げが望まれている。1つは、整備新幹線に対する一般的かつ当然の疑問として、なぜ最高速度が260kmであるかという点が挙がる。

東海道新幹線では1992年3月の「のぞみ」運転開始で時速270km運転となり、すでに26年が経過、現在は時速285kmに引き上げられている。山陽新幹線は1997年3月の500系車両導入で時速300km運転を開始、これも20年以上前だ。さらに東北新幹線は宇都宮・盛岡間で2011年3月のE5系「はやぶさ」の登場に合わせて時速300kmとなり、そして2年後に国内最高速の時速320kmまで引き上げて首都圏と北東北の間を速達化、さらに北海道新幹線の開業に備えた。既設新幹線がこのような趨勢であるにもかかわらず、最新技術で建設されている整備新幹線がすべての路線で時速260kmにとどまっていることは理解しがたい面がある。

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