整備新幹線、今の活用法では宝の持ち腐れだ さらなる高速化や貨物輸送などの検討が必要

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新青森―新函館北斗間が開業した北海道新幹線(撮影:今井康一)

1970年の全幹法(全国新幹線鉄道整備法)制定から約50年、気の遠くなるような長い時間を費やしてきた「整備新幹線」であるが、5線のうち東北新幹線、九州新幹線鹿児島ルートは全線完成を見た。財源の捻出がハードルだが、北陸新幹線の敦賀から大阪方面はルートも絞られ、このまま敦賀で止まることはあるまい。また、九州新幹線西九州ルートは途中区間が振り出しに戻ってしまったが、それだけに放置してよい事柄ではなく、やがては博多・長崎間直結に向けた解が出されるであろう。

そのような段階に達しただけに、いわゆる「整備5線」の後を狙う動きが活発になってきた。一方、今後は建設した路線の大規模メンテナンスも必要になり、そちらに財源を振り向けるためには、新線建設は“打ち止め”とすべきとの意見が財務当局ならずともある。また、日本列島の背骨と考えるのであれば、札幌から鹿児島までが結ばれれば一定の形は完成することになる。しかし、その背骨から逸れた部分にも、背骨上をしのぐ主要都市は多い。それらの都市を結ぶことは、決して巷間言われる不採算でも無駄でもない、とする見解も対峙する。

四国に登場した「新幹線構想」

このような中で、基本計画からの脱出を目指す活動を活発化させているのは、まったく新幹線路線を持たない四国である。

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四国は以前からフリーゲージトレインの試験の場として路線を提供するなど、新幹線や高速化の実現に向けた姿勢は目立っていたが、2017年7月、政財界や地元関係者が集まり四国新幹線整備促進期成会を新たに立ち上げている。

瀬戸大橋を通って四国内は高松経由徳島、高知、松山へと延ばす構想で、瀬戸大橋は新幹線を通すことを前提の構造で既成しているため事業費は1兆5700億円との予測が示されている。開業後の大阪―四国四県間は約1時間半に収まり、流動が活発になる。四国内の県庁所在市でも松山市は人口51万で全国18位、高松市は42万で22位に入っている。51万人となれば関東圏の宇都宮市、42万人は富山市や長崎市と同レベルと言える。とくに瀬戸内側は他にも人口10万人台の都市が並び、工業も盛んである。既存の整備新幹線沿線に勝るとも劣らない。

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