西の雄「コスモス薬品」が東京に攻め入る狙い 「食品比率5割」を武器に都内や関東圏へ進出

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横山社長はさらに、次のように続ける。「郊外型店が1000店に達する規模になった。中国共産党の指導者、毛沢東が行ったように、まずは地方を押さえ、そのうえで都市部へと進出する。そのような戦略を実行に移すことが可能な段階になった」。関東圏に攻め入ることで一段成長を描く、というわけだ。

調剤併設店の進出も視野

さらなる躍進をもくろむコスモス薬品。だが、関東圏ではマツモトキヨシホールディングスやウエルシアホールディングスなどドラッグ大手が待ち構える。関東圏に根を張る食品スーパーやコンビニエンスストアなど異業種の勢力争いも激しい。また、家賃負担など運営コストが福岡県に比較して高くなることも否めない。

低価格と食品費率の高さをひっさげての“関東圏深耕”だが、顧客の支持を集め、十分に店舗採算を確保できるかどうかは現時点では不透明だ。

コスモス薬品の新たな挑戦は、立地戦略だけではない。調剤併設店への進出も視野に入れる。ドラッグストア業界では現在、食品強化型と調剤強化型の店舗展開に二極化している。コスモス薬品の場合は前者の食品強化型だ。

調剤型の場合は診療報酬改定や薬価改定の影響を受けるものの、調剤事業の粗利が高いため収益にも貢献する。そのため、横山社長は「出店時期は未定」としながらも、「診療報酬が下がり、マンツーマン薬局(小規模な病医院に対応する形で保険薬局を設置する薬局)の体制が崩れるときがわれわれの出番。AI(人工知能)の導入が進めば、調剤過誤のミスもなくなるだろう。もう少し時間が必要だが、チャンスがくれば優秀な薬剤師を雇って本格的に調剤に参入したい」と語る。

コスモス薬品がこういった新戦略を標榜するのは、従来の食品強化型の郊外店舗を中心としたビジネスモデルではいずれ成長の限界がくる、といった危機感の表れであろう。果たして、もくろみどおりに成長を再加速させることができるか。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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