北朝鮮No.2失脚でも経済運営に影響なし 張成沢氏は完全に失脚、再起可能性はほぼゼロに

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韓国の有力紙「中央日報」の北朝鮮専門記者である李永鍾氏は、「時期的に見て、張成沢を検閲中に経済開発区の発表を行っていることもあり、大きな変化はないだろう」と見ている。ただ、「大事なのは結果。張成沢がいなくても経済政策は進められるが、はっきりとした道筋が見えない」と指摘する。

側近解任をはじめ、金第1書記の行動が不透明な点が、隣国の日本としては気がかりだ。振り返ってみると、金総書記時代には外部からその性格や政治手腕がうかがいしれる証言が多かった。亡命や拉致された後に韓国などに戻った関係者の証言も豊富だった。だが、金第1書記の場合、年齢が若いこともあり、彼に接した外部の人間があまりにも少なく、同時に情報も少ない。

読めない金正恩流の統治方法

「張成沢は権力闘争に敗れたという見方もあるが、背景を探るのは難しい状況だ。金正日時代は核心的な証言もあり政策運営の中にはパターン化され、おおよその方向性がわかることもあった。金正恩時代になり、父親の政策パターンは今では通用しないし、パターン化できるほどの蓄積がない」(前出の礒崎氏)

側近幹部をいとも簡単に解任し、批判を集中させるほどの権力基盤を、金第1書記は確固たるものにしたのか。あるいは、就任直後、就任前からそれだけの力を持っていたのか。今後の北朝鮮の政策運営と方向性がひときわ不透明になっている。
 (一部敬称略)

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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