北朝鮮No.2失脚でも経済運営に影響なし 張成沢氏は完全に失脚、再起可能性はほぼゼロに

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張成沢は韓国を訪問したこともあり、穏健派で経済開放に積極的な人物という評価がなされてきた。そのため、「経済開発区」を設置して外資を導入するなど、対外開放を少しずつ進めている北朝鮮の経済政策が変わるのではないかとの懸念も出てきた。

ただ、経済関連の動きは、現状からそれほど大きく変わることはないだろう。一つは、金第1書記自ら打ち出したのが、経済状況の改善と人民生活の向上であるためだ。一定の枠はあるだろうが、経済政策が大きく変わることはないと見る。

国家資源を濫用したとの指摘もなされる

今回の朝鮮中央通信の報道でも、「内閣をはじめ経済指導機関がその役割を果たせないようにした」「国家財政管理システムを混乱に陥れ、国の貴重な資源を安値で売り払う売国行為を働いて、主体(チュチェ)鉄と主体肥料、主体ビナロン工業を発展させるべきだという金日成主席と金正日総書記の遺訓を貫徹できなくした」と指摘している。

「主体」がつくのは、北朝鮮が独自に開発・生産したものという意味だ。これは、北朝鮮に豊富に埋蔵される地下資源を安易に外国に売り払い、自国経済の発展に寄与させないどころか、私腹を肥やしてきたということ。これは金第1書記が指導者となって以来、強力に進められてきた経済政策の方向性において最大の障害になる行為として、金第1書記自身がしばしば演説などで指摘した内容だ。

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