日本企業に足りないのはAI経営の本質理解だ 経営共創基盤・冨山和彦CEO「自前主義捨てよ」

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日本企業は経営にAIを十分に活用できるのか。経営共創基盤・冨山和彦CEO(右)と『AI白書2019』編集委員長の中島秀之氏が語り合った(写真提供:角川アスキー総合研究所)
AIに莫大な投資を続け、その覇権を争っているアメリカと中国。その両国に挟まれている日本の企業は、どのようにAIを活用していくべきか。『AI白書2017』(角川アスキー総合研究所)に「AI経営で会社は甦る」を寄稿した冨山和彦氏と、『AI白書2019』編集委員長の中島秀之氏が、AIと経営をテーマに対談した。その一部を編集してお届けする。

このままでは米中の下請けになる?

中島 『AI白書2019』の編集委員会では、AIについて、技術、投資、人材といった面で、日本は米中から周回遅れになっているという意見が出ています。冨山さんはこの現状をどのように捉えていらっしゃいますか。

冨山 周回遅れどころか、何周回も遅れています。アメリカと中国は、政治体制は異なりますが、産業・社会構造は似ています。割と個人主義で、お金が好き。起業志向で、ソフトウェアに強い。こういった要素は、幸か不幸かAIと相性がいい。

どちらかと言うと、日本の産業・社会構造は逆です。組織がガチっとしている集団主義で、年功型の組織。ハードウェアを改善していくのにフィットしているモデルです。

さらに言うと、中国は国中がサンドボックス(※1)で、何でもやり放題です。一方、日本は規制が厳しい。中国からAIベースのサービスモデルが先にたくさん出てきたときに、どのように対抗すべきか。日本は会社の形を根本から覆さなければならないし、今までのような少しずつハードウェアを改良していくモデルだけに集中していると、必ず米中の下請けになります。

中島 AIによる破壊的イノベーションで変わらなければいけない今現在、大きな問題が2つあります。1つは法規制の話で、もう1つは、今おっしゃったような企業の話です。法規制に関して言うと、新しい公共交通システムは技術的には実現できているのですが、法的にはタクシーの乗り合いもできないし、バスの路線もなくすことができない。自動運転も日本では全然実装できていないのに対して、米中ではどんどん実施しているような状態です。

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