栗城史多を唯一撮っていた男が発信する意味 今の空気は不自由「もっと自由に生きていい」

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栗城さんの訃報からすぐに配信された記事(写真:news Hack by Yahoo!ニュース)

栗城さんの挑戦方法について批判的な見方もあると、知り合ってから知ったのですが、映画にするのであれば、そういった批判的な部分も取り上げ、それを乗り越えてエベレスト登頂に挑戦する栗城さんを撮りたいですね、と企画を出しました。ただ2015年の挑戦では、ベースキャンプまでの同行も誘われていましたが、実現しませんでした。

――それはなぜでしょうか。

当時、映画を撮る際の条件として、「まず成功してほしい。中継も無理だったら諦めてほしい。本当に中継がしたいのであれば、撮影スタッフも連れて行った方がいい。登山を優先するのではあれば、もっと良い時期、酸素も使った方がよいのでは」と提案しました。

映画では批判的な言葉も取り上げる、いっぱい拾う。でもエベレスト登頂を成功すれば、その批判的な言葉は全部、その人たちに返っていくから、どんな形、どんな条件を取っ払っても成功してほしい、という話をしました。でも、栗城さんは「単独無酸素と共有、両方あって僕の登山。どちらかだけというのもない」と答えました。

映画づくりはストップしましたが、3年たった今年、改めて取材をして動画を公開できたことで、自分の中ではひとつ区切りがつけられるかなと、思いました。事前に多少、批判的なものも聞きますよ、とお伝えしていましたが、栗城さんは寒い豊洲のキャンプ場で、たき火の煙で涙を流しながらも3時間インタビューに応じてくれました。

たき火を囲んで栗城さんの思いをじっくり取材(写真:藤岡さん提供)

――亡くなって半年近くたった11月に追悼ギャラリーを取材し、記事を公開

時間がたって、栗城さんを皆がどう見たのか知りたかった。実際に追悼ギャラリーの来場者に話を聞くと、どうみたらいいのか悩んでいる人が多かったような印象を受けました。インターネット上の批判は石に刻んだようなもので、残り続ける。一方、ギャラリーに足を運んでいた人は「心に残ったよね」という話をしていました。

批判も含めて、ここまで感情を揺さぶったというのはすごいと思いました。挑戦の方法について賛否ありますが、結論はないと思います。動画でも、結論を出すような描き方はせず、栗城さんについてもっと考えてみたいとなるよう意識しました。

「自由に生きていい」と教えてくれる人を撮りたい

――今年は栗城さんだけでなく、インド仏教最高位の日本人僧侶、佐々井秀嶺さんのインタビュー動画も公開しています。何がきっかけで取材をしたのでしょうか。

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