いつも目標倒れに終わる人の盲点中の盲点 小さな習慣の積み重ねこそがその一歩だ

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菅原学さん(43歳、仮名)は、一人暮らしを始めた大学生の頃からスロットにはまり、それから10年余りもの間、ギャンブルのために親兄弟や消費者金融から借金をするなど、寝ても覚めてもギャンブルざんまいの自堕落な生活を送っていました。

そんな菅原さんを見かねたお兄さんの勧めで、依存症の治療で有名な病院に通院することになり、薬物治療と集団精神療法と呼ばれる治療を受けたそうです。

医師から渡された薬は、自殺願望がある人などの衝動を止めるときに使われる薬だったようで、それを飲むと、「スロットに行きたい」という激しい衝動は以前に比べて収まったそうです。そして、集団精神療法とは、似た経験を持つもの同志が集う「自助グループ」に入り、医師などの監督下で語り合うというものです。

ただ、通院した回数や薬の服用期間、自助グループへの参加は、ほんの数回にすぎませんでした。菅原さんはこれをきっかけに、「当たり前のことをきちんとやれる自分になろう」「日常のささいなことから自分自身を変えていこう」と決心します。

日常のささいな習慣と仕組化の効力

菅原さんの長年の悪習を断てた主な「習慣」を挙げてみます。

□ 出勤前に必ずベッドメイクしてから家を出る
□ Yシャツのボタンが取れていたら放置せずにその日のうちに縫い付ける
□ シャンプーや洗剤などは、詰め替え用で補充する
□ 土日はスーパーに行き食材や日用品を補充する

これらは、誰でもできるような簡単なものがほとんどでした。菅原さんによると、「自炊するのも、掃除洗濯、お裁縫も、きちんと丁寧にしてみると、なかなか楽しくて、今度はそれをやらないと気が済まなくなり、どんどんはまっていった」。そうなると、土日は月曜から快適に過ごすための準備で忙しく過ごし、時間に余裕ができたときは、ギャンブルのことを考えないように、大事な契約時のイメージングをし、事前に必要な準備をする時間に充てたのだそうです。

このほかにも菅原さんはこんな習慣も実行していました。

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