元中国大使が大胆予測!米中貿易戦争の行方 トランプ強硬策が中国の技術力を後押しする
日本人には意外だろうが、そうした先進国の動きに対し、習近平の人気は中国国民に根強い。私の新著でも、この点について詳しく述べておいた。
中国には「君主にとって天とは民であり、民にとっては食が天だ」という格言がある。食べること、すなわちパンを与えない為政者は、いかに剣をもって抑えようとしても国民の不満は募り、為政者は最後には追放される。それが歴史の示すところである。
少数民族問題など国内に深刻な格差は残っているものの、経済成長によって漸進的に生活が豊かになっている間は、習近平が国民の敵となることはないだろう。経済成長は習近平と中国共産党にとっての生命線である。「製造2025」には、そうした習近平の事情も背景にあるはずだ。
しかし、前回にも述べたことだが、国民生活が豊かになれば、やがて国民の間には権利意識が芽生えることとなる。「一帯一路」の成功も、「製造2025」の成功も、共産党の一党支配を支える重要な政策である反面、一党支配を危うくする要素を内包している。
中国の発展の道筋には、必ずどこかで「中国版の民主化」という道に向かう分岐点があるはずだ。中国は国民の権利意識の高まりとともに、「中国的民主化」に向かって一歩ずつ足を踏み出すだろう。これも習近平の「大問題」である。
日本人はもっと働け!
この年末年始は正月休みと連休で、10日を超える休日があった。世界が混沌としている中、日本だけは政府が休め休めと音頭を取っている。民間のほうもそれに応え「みんなで渡れば怖くない」とばかり、流通サービス業を除けば各社一斉に休みをとっている。国は、役所はもとより国会議員まで一斉に休んでいる。
それに対して異を唱える発言も聞かない。そこで私はあえて言う。
日本人よ、もっと働け!
今年の4月で平成という時代が終わる。この30年間でアメリカのGDPは3.64倍、中国は29.18倍と成長した。対して日本のGDPは1.66倍とほぼ横ばいである。日本が30年間で世界一になったのは国と地方合計の借金だ。日本の未来は決して明るくない。
政府は2020年の東京オリンピックに向かって、なにか華やかなムードを演出しようとしているが、2020年の秋以降には訪れると言われている景気の落ち込みに対しては何の備えもできていない。
もはや古い時代の人間が古い頭で考える時代は終わりにしたほうがよい。新しい元号の時代の日本の活路は、新しい人が、新しい頭で考えるべきだ。
2025年に中国のはるか後方で停滞する日本にしないためには、よどんだ「空気」に流され休んでばかりいては何も解決しない。新年は新しい時代の新しい空気の中でどう働くかを考えるべき年だ。
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