「永遠の賃上げ」が最強の経済政策である理由 「毎年5%アップを強制する」政策が必要だ
さて、こんな状況におかれている日本ですが、経済を成長させるためには、どうしたらいいのでしょうか?
人口が減る以上、賃金を上げないと経済は縮小する
日本経済、すなわち日本のGDPの半分以上は個人消費で構成されているので、個人消費を刺激するのが、経済を成長させるのに最も効果的なのは明らかでしょう。
しかし、日本ではすでに人口が減少し始めており、今後も数十年にわたって減り続けると予想されています。人口が減る以上に消費を刺激するには、どうしたらいいか。一人ひとりが受け取る賃金を増やすしか方法はありません。
少し極端な例ですが、人口が2人しかいない国があるとしましょう。2人の収入はそれぞれ年間100万円で、2人とも全額を消費するとします。この場合、200万がこの国の個人消費総額になります。
この国にも人口減少の波が押し寄せ、1人減り、総人口が1人になってしまいました。この状況で何もしなければ、個人消費総額は200万円から100万円に減ります。
こうならないようにするためには、残されている1人の年収を200万円にする、つまり賃上げするしか方法はありません。
もちろん、現実の世界では、ここまで極端な例は存在しませんし、対策もここまで簡単な話で済むわけではありません。しかし、究極的な本質は、この例と同じです。
実は今のGDP規模を維持するためには、生産年齢人口1人当たりのGDPを現行の724万円から、2060年には1258万円に上げていく必要があるのです。
冒頭でも説明したとおり、人類の歴史を長いスパンで見ると、人々が受け取る賃金は右肩上がりで大きく増えてきました。一方、短いスパンで見ると、日本では1990年代に入って以降、次第に給料が減っているのがわかります。ちょうどその頃から、日本では消費者物価の上昇率がマイナスに転じるなど、デフレの様相を呈し始めました。
私は、日本経済をデフレに陥れ、抜け出せなくしている最大の原因が、給料の低下であると分析しています。日本の失われた25年は、給料低下がもたらした不況の結果だと言っても過言ではないのです。要するに、「労働分配率の低下」がもたらした不況でした。
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