米国四季報で読み解く「アメリカETF」活用法 基本情報から活用法まで全解説

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アメリカだけではなく、海外の他の地域への投資を考える場合、方法としては国内の投資信託かアメリカのETFかという二択になります。ここではアメリカETFの場合をご紹介しましょう。

まずアメリカ以外の全世界に投資するタイプがあります。このタイプでは、たいてい先進国が8割程度、新興国が2割程度という地域配分になっています。また、日本やヨーロッパを中心とした先進国のみに投資するETFや、新興国だけに投資するETFも複数あります。

地域別・国別に投資するタイプでは、ヨーロッパ各国、中国やインド、東南アジアや中南米など先進国から新興国まで揃っています。なお、地域別・国別タイプのETFには為替ヘッジを行うものがありますが、あくまでも米ドルに対するヘッジだということに注意が必要です。

アメリカは債券大国でもあるので、債券に投資するETFの種類も多く、国債からモーゲージ債(個人の住宅ローンを担保とする債券)、社債とあらゆる発行体の債券が投資対象になっています。国債や政府機関債などの投資適格債を組み入れた商品が中心ですが、ハイイールド債(信用力が低い代わりに利回りが高い債券)に投資して高いリターンを狙うものもあります。期間も金利変動の影響の少ない短期債から20年以上の超長期債までさまざまです。

債券も投資対象はアメリカだけにとどまりません。他の先進国や新興国の債券を組み入れるETFも種類が豊富です。グローバル債券でも、国債に投資するタイプとハイイールド債に投資するタイプがあります。新興国債券への投資では現地通貨建てのタイプもありますが、高い利回りが期待できる一方、為替変動のリスクも認識しておく必要があります。

債券ETFの最大の魅力は毎月分配金が支払われることにあります。株式ETFでキャピタルゲインを狙い、債券ETFでインカムゲインを確保するというポートフォリオを組むことも手軽にできるのです。

ETFもツールの1つとして活用できる

最後に、もう一度ブラックロックの調査に戻りましょう。ETF大国アメリカの投資家でも、その手数料が他の商品と比べて比較的低いことを知っているのは全体の3分の1(34%)、債券に投資するETFやアメリカ以外の資産に投資するETFのことを知っているのは5分の1(21%)にすぎないという結果が示されています(2016年調査)。

われわれ日本人も、ツールとしてのETFのメリットを知り、それぞれの投資スタイルに合うよう上手に活用することで、投資や資産形成の選択肢の数が増えていくに違いありません。

注:本文中、個別のETF名を示していますが、代表的な銘柄として例示したものであり、筆者および編集部が推奨するものではありません。
加藤 千明 ファイナンシャル・プランナー、「アメリカ企業リサーチラボ」運営

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かとう ちあき / Chiaki Kato

大手証券会社勤務の後、1993年7月、東洋経済新報社に入社。主に統計指標をベースとした刊行物を担当する一方、電機・化学業界担当記者としてITバブルの全盛期と終焉を経験。その後は、マクロ、マーケットおよび地域動向を主戦場に、データをもとにした分析、執筆などを行う。2005年より『東洋経済 統計月報』編集長、2010年より『都市データパック』編集長。『米国会社四季報』編集部を経て、2021年2月に退社。現在はファイナンシャル・プランナーとして活動するかたわら、アメリカ企業の決算情報を中心にSNSで発信。

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