「ひょっとしたら冗談かもしれない……」
という淡い期待を胸に、しばらく埋められたまま待っていると、見知らぬカップルが肝試しにやってきた。おっかなびっくり歩いているカップルに
「すいません……すいません……」
とそっと声をかけると、懐中電灯を持った女性が
「今なにか聞こえなかった?」
と男性に聞いた。男性は
「幽霊なんかおらんねん、びびらすなや」
と怒ったが、女性は懐中電灯で当たりを照らした。そして地面に、大城さんの首が落ちているのを見つけた。
「カップルは『ぎぃやああああ』って叫んで逃げて行きました。『おーい!! 待ってくれー!!』って何度も叫んだけど、聞く耳持たず去っていきました」
それからは待てど暮らせど誰も来なかった。さっきのカップルが生き残るラストチャンスだったのか、そしてそれをまんまと逃したのかと思うと悔しくて涙があふれてきた。
季節は夏。徐々に脱水症状になり、意識がもうろうとしてきた。
「心のそこから死にたくないと思って
『助けてくれ!!』
と叫びました。すると山の向こうからも『助けてくれ!!』
と聞こえてきました」
やまびこかな?と思ったが様子がおかしい。大城さんはハッと気がついて『わだー!!』と友人の名を叫んだ。すると山の向こうからは『おおしろー!!』と返ってきた。
「なんと和田は向かいの山に埋められてました。結局、昼頃になってその土地の管理人に助け出されました。もう少しで本当に死んでしまうところでした」
結局不良たちは警察に捕まり鑑別所に入った。そして出てきた後に大城さんの元にやってきた。
「出てきたばかりだから無茶はできひん。もう臭い飯食いたくないねん。あと1万円だけくれ。そうしたらもう今後はかまわん」
と言われた。
「理不尽なお願いだけど渡さないって選択肢は選べませんでした。母親に1万円を借りて、不良に渡しました。それからは本当に付きまとわれなくなりました」
もう一度NSCへ
そんな波乱の高校生活は4年で終わり(4年制の高校だった)、大城さんは19歳になった。そこで中学時代に途中であきらめてしまった、吉本総合芸能学院(NSC)にもう一度入学することにした。第13期生、同期にはブラックマヨネーズ、野性爆弾、次長課長などがいる。
「自分が以前NSCに入っていたことはなかったことにしました。もう一回、ゼロから頑張ってみたかったんです」
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