両親も「高校に行け」とうるさかったので、素直に従い高校を受験することにした。
「塾に通って勉強したのに、高校受験は失敗してしまいました。結局、定時制高校しか行くところがありませんでした。両親はブチ切れて『塾代返せ!!』と怒っていました」
大城さんは、働きながら定時制高校に通った。夜の9時から活動するサッカー部に入ったり、58歳の同級生と合同コンパをしたり、楽しい学生生活だった。
だが、またしても不良に目を付けられてしまった。
「当時は昼間に同級生の和田英雄と2人で建築現場で働いていました。仕事が終わると日当の1万円をもらって、それを持って高校に行ってました」
不良の5人組の先輩に声をかけられた。
「その1万円を貸せ!!」
と言われて、受け取ったばかりの日当を取り上げられた。そして居酒屋やカラオケに連れて行かれた。大城さんと和田さんの稼いだ金は、連日遊びで使われてしまった。
その先輩たちの悪行はだんだんエスカレートしていった。彼らは深夜の公園に出かけ、デートをしているカップルにナイフを見せてお金を脅し取った。警察は彼らに対し逮捕状を出した。
「僕らは無理やり居酒屋やカラオケを付き合わされてましたけど、それでもはたから見たらつるんでいるように見えますからね。ヤバイぞってなりました」
とりあえず、建築現場のアルバイトも、学校も休むことにした。そして和田さんと2人で知人の家にかくまってもらった。
「先輩たちが逮捕されたら、改めて仕事も学校も復帰することにしました。それまでは和田と一緒に知人宅で身を隠していました。それでもお腹がすいて深夜にこっそりコンビニに買い出しに行ったら、お店の前にヤンキー仕様の自動車が数台停まっていました」
運が悪いことに不良の先輩たちだった。
「お前らどこに隠れとった!! 裏切りやがったな!!」
シャベルを渡され、穴を掘らされ、埋められた
怒鳴られた。言い訳をするひまもなく無理やり車に乗せられた。そして、そのまま自動車は夏の六甲山を登っていった。山奥にある、有名な心霊スポットまで連れて行かれた。
「自動車に積んであったシャベルを渡されて、穴を掘れって言われました。正直、殺されるんだって思ってヒザがガクガクになりました」
大きな穴を掘り終わると、大城さんはその穴に埋められた。穴から顔だけ出した状態で、工事現場用の凝固剤で体を固定されてしまった。
和田さんは正座させられ、大城さんが埋められる様子を泣きながら見ていた。彼も埋められると思っていたが、なぜか彼は自動車に乗せられ、不良たちと一緒に去っていった。大城さんは穴に埋められた状態で1人残された。
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