アップル、10─12月期売上高見通し下方修正 中国でのiPhone販売が不振、株価は急落
[2日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>は2日、年末商戦を含む第1・四半期(12月29日まで)の売上高見通しを下方修正した。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、中国でのiPhone販売の減速が理由だと説明した。
これを受けて株価は引け後の取引で急落し、株式市場全体に売りが広がった。
アップルは第1・四半期の売上高見通しを840億ドルとし、従来の890億─930億ドルから引き下げた。修正後の見通しはリフィニティブI/B/E/Sのアナリスト予想915億ドルも下回った。
アップル製品は、米当局者が使用禁止を検討している華為技術(ファーウェイ)など中国のメーカーと競合する。
クック氏はCNBCで、アップル製品は中国政府の標的にはなっていないとした一方、一部の消費者はアップルが米企業であることを理由にiPhoneや他のアップル製品を購入しない選択をしている可能性があると述べた。
その上で「(中国)経済の減速や、一段の景気下押し圧力になっている貿易摩擦のほうがより大きな問題だ」との見方を示した。
一方アナリストの間では、アップルの対応による影響を指摘する声も出ている。
クック氏は投資家への書簡で「主要新興国で一定の逆風を想定していたが、特にグレーターチャイナで景気がこれほど減速するとは予想していなかった」とし、「売上高の下振れ分の大半をグレーターチャイナが占めた」と明らかにした。
アップルが四半期決算発表前に売上高見通しを下方修正するのは2007年のiPhone発売後で初めて。
アップル株はこの日、下方修正発表前に売買が一時停止された。引け後の取引で株価は7.7%急落し、時価総額は7000億ドルを割り込んだ。S&P総合500指数先物<EScv1>も1.5%安となった。
クック氏は11月に行った第4・四半期決算発表後の電話会見で、第1・四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったことについて、ブラジルやインド、ロシアなど新興国の成長減速を反映したと説明していたが、中国は減速が懸念される国には含まれないと述べていた。
しかしその後、米中貿易摩擦による中国経済への影響が強まり、中国人民銀行(中央銀行)系の雑誌は2日、2018年第4・四半期の成長率が6.5%を下回った可能性があると伝えた。
景気減速のリスクが高まる中でもアップルは中国で高価格戦略を継続しており、ドル高も高値要因の1つとなっている。
アトランティック・エクイティーズのアナリスト、ジェームズ・コードウェル氏はロイターに対し「投資家にとってはアップルの積極的な価格戦略が状況をどの程度悪化させたかや、長期的なiPhoneの価格設定力にどう影響するかが問題だ」と述べた。
また、キャピタル・インベストメント・カウンセルのチーフエコノミスト、ハル・エディンス氏は米中貿易摩擦による業績見通しへの影響に言及したクック氏のコメントについて、「過去1年の自社の間違いの言い訳として貿易摩擦を利用しているだけかもしれない」との見方を示した。
一方、クック氏は書簡で、ネットキャッシュが1300億ドルあることも明らかにし、キャッシュバランスをゼロにする取り組みを継続する考えを示した。
これについてガレーン・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、トリップ・ミラー氏は、株価が割安となっている局面で自社株買いを拡大し、株主還元を行う可能性があると指摘した。
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