引退した岩政大樹の「オンリーワン」な生き方 タイ挑戦や下部移籍、異端のキャリアを構築

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その後の東京ユナイテッドにしても「首都・東京に根ざしたサッカークラブ作り」というコンセプトに賛同。木村社長と同じ東大出身で、みずほ証券に勤務する公認会計士の福田雅氏(共同代表兼監督)らと協力しながら、クラブ組織を作り上げていく難しさと喜びを味わえた。これは貴重な経験だったはずだ。

「岡山はしっかりと経営に取り組まれているクラブという印象があったので行きました。そこから地域リーグに行ったのも、東京で社会人を含めていろんな方にお会いするチャンスがあるし、サッカーの世界だけに視点を置かないようにしようと考えたからです。サッカーに携わる人たちはよく『サッカーを文化にする』と言いますけど、そこをきちんとかみ砕いていく必要があると僕は思うんです。

日本におけるサッカーの社会的地位、サッカー人に対する尊敬は欧州にはまだまだ及ばない。サッカーの素晴らしさが世間に浸透していないところもあると感じます。理解を深めてもらうためにも、サッカー界以外の人たちとの交流を持つことができたのは大きいし、ここ数年のいちばんの価値であり発見でしたね」と彼は神妙な面持ちで語る。

40歳までの3年間で見いだしたい

もちろんサッカー指導者としてのライセンスも取得しているし、解説者としての仕事にも携わり続けている。それだけ多彩な能力を備えた日本代表OBはそうそういない。だからこそ、岩政が最終的にどういう方向に進むかは非常に興味深いところ。

日本サッカー協会やJリーグのような組織で働くのか、クラブ運営に携わるのか、現場に戻るのか……。いずれにしても本人は「40歳までの3年間で見出したい」と考えている。

「ただ、生活自体はそんなに大きくは変わっていないんですよ。東京ユナイテッドにいた2年間も1週間がずっと埋まっている状態で過ごしてきたんで。時間を空けられるとしたら選手兼コーチのところしかなかった。

そこがどう埋まっていくか、自分でも楽しみにしていますけどね。ますます楽しみにしてます。最終的にはやはり自分が腰を据えて、1つの人生で成し遂げるべきものを見つけないといけない。そういう意識はあります」

将来への期待を語りつつ、新たな道を模索している胸中を話した岩政大樹(撮影:今 祥雄)
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