「住宅税制」はなぜこうも複雑・難解なのか 増税に向け抜本的見直しを求める動きもある
住宅取得は庶民の暮らしの中で「最も高価な買い物」と言われる。だから、消費増税を前にした今のような時期には、「今が住宅の買い時か?」といった議論がにわかに盛り上がる。
だが、そんなタイミングであっても、「住宅税制はどうなっているのか」「それは本当に適正な制度なのか」などという、根本的な事項に疑問を持つ人は少ないように思う。結論から言うと、住宅税制はかなり複雑で、難解だ。消費税率10%時代(2019年10月~)を迎えるにあたり、抜本的な改革が必要だとする議論もある。
住宅税制の複雑さ・難解さを象徴的に表す事例が、最近の国税庁による発表の中に見られる。「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ」(2018年12月11日)がそれだ。住宅借入金等特別控除とは住宅ローン減税のことである。
税金を控除しすぎていた
報道によると、2013~2016年の4年分の住宅ローン減税などで、税金を控除しすぎていた人が最大約1万4500人にのぼり、追加納税が必要になる可能性があるという。住宅ローン減税と贈与税の関連で申告ミスが多く、税務署も確認できていなかったそうだ。
贈与税にはさまざまな条件があり、その複雑さが今回の事態を招いたようだ。なお、この件については、振り込め詐欺などに悪用される可能性があり、国税庁では注意喚起をしている。
住宅を建築・購入した人なら経験があるだろうが、確定申告の際に書類を作成するためには、さまざまな要件を考慮する必要があり混乱しがちだ。だから、申告の時期(特に締め切りギリギリ)には申告会場や説明会場には疲弊気味の人たちであふれかえる。
全体像を理解するのには、高度な専門知識を有する会計士などの専門家でないと無理だろう。というか、プロ中のプロである、税務署関係者だって誤りを見落とすというレベルである。
さて、ここで住宅に係る税金の種類や負担軽減策としてどんなものがあるのか、簡単に確認しておこう。住宅を取得する際に係る代表的な税金としては消費税のほか印紙税、登録免許税、不動産取得税がある。住宅を保有し続ける中では固定資産税、都市計画税も課税される。
ちなみに、「今の月額家賃と同額のローン支払いで家を買えますよ」などという不動産広告があるが、これらの税金を計算に入れていないケースもあるので注意が必要だ。
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