平成最後の年始にふさわしい「今年の抱負」 毎年「できなかった事」を掲げていませんか?

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私たちは、できないことに対して、それを正当化するために理由付けを始めます。タイミングが悪かった、時間がなかった、お金がなかったなど、「できなかった」理由をたくさんそろえることによって自分自身を納得させる言い訳を必死に用意するのです。「○○だからできなかった」と思っていたことを、今年の抱負にしているのなら、その実現可能性は極めて低いということです。理由付けを始めた時点で、それは、何が何でもやり遂げる必要性や情熱がないことだったのです。

ですから、取捨選択してください。自分の中で本当に必要なものなのかを問うことが大切です。再考してみて、すぐに動くことができないようであれば、すっぱり切り捨てることも考えましょう。

なぜなら、やりたいと思っているのにできないという思いを持ち続けると、できない自分像を作り出し、自己否定を強めてしまうからです。要するに自己肯定感を下げてしまうのです。自己肯定感が低いと気持ちが不安定になりやすく、周囲の人の影響を受けやすくなります。そうすると心身ともに疲弊し、全体的なパフォーマンスが下がってしまいます。自分の立てた目標に翻弄されないようにするためにも、掲げるだけで実行されない目標を思い切って排除してしまうことが必要なのです。

すぐに実現できるタスクを検討する

それでもやろうという強い気持ちがあるなら、すぐに取り掛かりましょう。

好きなことならすでに始めていると思いますし、やろうと思えばできるけれども、それなりの負荷が必要なもの、業務上で仕方なくとらなければならない資格の勉強や、やらざるをえないことは、どこから手を付けてよいのかわからない場合もあると思います。まずは、目標の達成に必要なことに関する、すぐに実現できるタスクを検討しましょう。

例えば、「部屋をきれいにする」という目標を掲げて、「こまめに片付ける」というタスクを課すのは、意味がありません。「こまめに片付ける」は、感覚的で曖昧なので実現しにくいのです。まずは、「脱いだものを必ずハンガーにかける」でもいいですし、「毎日、掃除機をかける」といったような実現できる範囲の具体的なことが必要です。

「体重を5キロ落とす」という目標なら、「なるべくカロリーの低いものを選ぶ」ではなく、「夜21時以降は何も食べない」といった具合です。

タスクが明確になったら、すぐに始めてください。人は、小さな達成感を次のモチベーションにつなげていくので、日々の小さな成功体験がとても大切です。ですから、漠然とした目標ではなく、わかりやすい小さいタスクに置き換える必要があるのです。タスクを実践していくことで、目標は、より具体的になり達成しやすくなります。そして、それをやり続けること(行動の持続)が必要で、結果的に目標達成につながります。

何かを達成するには、始めることよりも続けることが重要です。すぐに結果は出なくても、一歩一歩の積み重ねを大切にしましょう。

まずは、100回(100日)を目安に実践してください。最小限、それだけ続ければ、気持ちにも変化が起こり、必ず何かの成果につながると思います。

皆さまの年始の抱負が、実現する年になりますように!

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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