真冬の渋谷に「ロールアイス」が開店のワケ 行列ができる京都の人気店が東京進出

拡大
縮小

抹茶も京都のお茶屋さんから仕入れているそうだ。とはいえ、ここまでは尋常な抹茶アイス味。しかし突然「ぷにゅっ」という食感があらわれ、驚いた。わらび餅だ。

わらび餅は、トッピングしてあるのではなく、生地に混ぜ込んであったわけだ。制作過程を見ると、抹茶入りの生地を冷却した天板に広げ、わらび餅を投入。こてで、スピーディーに切り刻んでは混ぜ、なめらかな生地を作っていく。四角いシート状に成形、カットして巻き、カップに詰める。トッピングして完成。

「わらび餅が天板やこてにくっつくので、当店でいちばん難しいメニューなんですよ」(山岡氏)

目標はディズニーランドのような接客

しかし、京都店から経験を積んでいる、店舗でもっとも技術の高い社員が作成してくれたため、5分もかからずに完成した。この技術を目の当たりにできるのも、ロールアイスの楽しみである。

「オペレーションに関しては、回転率を上げるために、天板の温度、作成にかかるタイムなど、徹底的に研究してきました。また、うちの差別化ポイントが接客なんです。作っている間もお客様と会話して、その時間を楽しんでいただくようにしています」(山岡氏)

四角いシート型に成形したアイスを、細長くカットして巻いていく。同店ではアイス制作を進めながらお客と会話を交わす「コミュニケーション」を売りにしている(筆者撮影)

目標はディズニーランドのような接客。スタッフの研修では2週間かけて、ロールアイスの技術のほか会話の教育を行うそうだ。「映える(ばえる)」が口語として流通するぐらい、今は見た目、写真映えに価値がある時代だが、あえて接客に力を入れる理由を聞いてみた。

「写真に撮ってアップするのは簡単ですし、その楽しみは当店の店員がいなくても成立します。でも、コミュニケーションでお客様に『よかった』と思ってもらえるのは難しい分、価値があると考えます。SNSの投稿でも『店員さんが優しかった、会話が楽しかった』と書いてあるほうが、その投稿を見た人の気持ちをつかむと思います。一方で、こうした接客の水準を高めていくのは大手チェーンでは難しい。当社のような規模だからこそできることなのかな、と思っています」(山岡氏)

渋谷モディ店限定の1番人気メニュー「渋谷ブラック」780円(筆者撮影)

同店での1番人気は、これも渋谷店限定の「渋谷ブラック」(780円)。竹炭入りのバニラベースの生地に、オレオクッキーを刻んで混ぜ込んでいる。トッピングはチョコレート生地のロールケーキ、オレオ、ベア型のチョコレートクッキーなど、ブラックで統一。渋谷という立地にふさわしく、クールで個性的なロールアイスだ。

「お恥ずかしい話かもしれないのですが、ロールアイスクリームファクトリーさんがハロウィンに季節限定で黒いアイスを発売されたんです。どこの店の商品か、というのを意識せずに買われた方も多かったのだと思います。でも、それ以来、このブラックが1番売れ筋のアイスになっており、販売数は平日で10食、休日は20食といったところです」(山岡氏)

次ページ一押しのメニューは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT