真冬の渋谷に「ロールアイス」が開店のワケ 行列ができる京都の人気店が東京進出
このように、渋谷モディで展開するからには、「京都発のロールアイスを食べられるから」という理由でお客が集められる店でなくては厳しい。実際の集客の状況を、店長の山岡悠樹氏に伺った。なお同店は、アミューズメント、飲食事業を展開する第一物産の関連会社であるA.S.Pが運営を担っている。
「平日は、午後3時ぐらいからが忙しいですね。学生はもちろん、修学旅行生、インバウンドも多いです。もっとも、海外の方は買っていただけるというよりは、『これが日本のロールアイス』という感じで、写真を撮影するのを目的に来られる方もいらっしゃいますね」(第一物産A.S.P事業部の山岡悠樹氏)
なるほど、同店はアイスクリームを制作するカウンターが、ビルの入り口や通路に面していて、オープンに制作過程が見えるつくり。お客でなくとも、いくらでも写真が撮れるわけだ。実際の客数は、平日は150~160人程度、休日はその2倍ぐらい。もっとも、1つのカップを数人で分け合うことも多いようで、販売数は平日70~80食、休日170~180食だそうだ。
この寒さのなか、まずまずの売れ行きと考えることもできるが、山岡氏は「関東初進出、人口も多いことを考えると、欲を言うと、もう少し売れてほしい」という。というのも、京都や名古屋の店舗は人通りの多い繁華街や観光スポットにあり、売れ行きもいい。京都タワー内にある店舗では、「修学旅行生が一気に来店し、1時間で30食が出ることもある」(山岡氏)そうだ。
「意外だったのが、東京ならすでにロールアイスはかなり認知度が高まっていると予想していたのですが、わりと『新しいスイーツ』という感覚で食べてくださるところですね。ほかの目的でビルに来た人が、『あ、ロールアイス、ここで売っているんだ』などと、寄ってくださることもあります」(山岡氏)
競合店との違いは?
そして、どうしても比べてしまうのが、ロールアイスクリームファクトリーである。実際、山岡氏によると、同店のアイスと間違って訪れる客も多いようだという。どう違うのか、味わってみた。
試食したのは渋谷店限定の「宇治抹茶ワラビ」(850円)だ。抹茶味のアイスに、ロールケーキ、ミニ鯛焼き、番傘をトッピングし、外見でも京都をアピール。ロールアイスクリームファクトリーがかなりデコラティブで「キュート!」という方向のかわいらしさなのに対し、こちらはむしろ、シンプルと言える。
スプーンをアイスに入れるには、まずタイ焼きを取り除かなければならない。やっと口に含むと、クリーミーで、抹茶のほろ苦さがほのかに感じられる。ロールアイスクリームファクトリーのほうは空気を多く含み、サッパリしているのに対し、こちらは濃厚。
「生地にはかなりこだわりがあり、開発にはパティシエにも入ってもらいました。見た目だけでなく、味にも感動してもらえると自負しています」(山岡氏)
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