中国の「越境EC競争」でウケたカルビーの戦略 独身の日に、若者の心を掴んだポイントは?
一方、オフラインでは、杭州の有名ショッピングモールのど真ん中にスペースを設け、「最後までボーッとできた人が日本往復チケットをもらえる」というイベントを仕掛けた。
日本ではなかなか考えつかないイベントだが、中国人の若者に受け、1日のイベントの参加者数は2000人を超え、ライブ中継も人気となり、コメント数だけでも3万2000件があったそうだ。
一見「ふざけている」イベントかもしれないが、オンラインとオフラインの間で、商品と消費者の間で、面白い!受ける!シェアしたくなる!美味しい!といったコンテンツをイベント化し、そこから、越境ECのいちばんのユーザーである若者の心をつかんだのだ。
多様化している消費市場
3つ目の特徴は、消費内容の多様化である。今まで、トイレットペーパーの大量買いから車の安売りバーゲンとして有名だったW11は、本年は、「モノ」も「コト」も販売するようになった。
有料音楽・動画サイト、出前サイトはもちろん、交通チケット、保険、オンラインの旅行商品、エステ予約なども急に存在感が高まった。中国の消費市場が今「階層化」「多様化」しており、違うグループの人に、違うタイミングで、違う消費意欲が出てくる。
その変化、ターニングポイントを把握するのはECサイトだ。特に生活に近い商品・サービスのほうが、生活の質を最も改善できるため、こうした「生活の質を高める」買い物がますます好まれるようになる。生活用品が強みである日本企業にとって良い時期になってきた。
W11を代表としたECイベントの変貌は、中国の消費市場の進化を表している。O2O、個性、モノもコトも要求されている。越境ECは85後(1985~1989年生まれ)、90後(1990年代生まれ)の若者が主力軍だと言われている。したがって、デジタルネイティブの彼らに、SNS+ECの戦略が必須となり、「取引を攻める」より、まず「ファン育成」が重要となってくる。商品もプロモーション方法も、ますます多様化しており、「祭り」になっている。
渡辺直美の登場には、日本重視、日中関係改善のサインとして捉えられる。今後、いかに戦略を練り、越境EC、ECで成果を挙げるのか、日本企業の実力が問われている。
2019年も、より多くの日本企業が中国市場で活躍することを期待したい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら