ワインがチューハイに負けて迎える「踊り場」 「低価格ワイン」に頼りすぎ、回ってきたツケ

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チリ産ワインのブームは、2007年に日本とチリがEPA(経済連携協定)を締結し、輸入にかかる関税が引き下げられたことがきっかけとなった。

キャッチーな「動物ラベル」の低価格チリワインが市場拡大を支えた(記者撮影)

特に人気を博したのが、「アルパカ」や「サンタ」「プードゥ」など、大手輸入業者の「動物ラベル」の商品。

1本600円前後という価格帯が、「リーマンショック以降の節約志向で広がった"家飲み”需要を捉えていった」(日本輸入ワイン協会の遠藤利三郎氏)。

生産者価格の上昇などで2013年には多くの銘柄で値上げが相次いだが、翌2014年以降、大手メーカーはボトルではなく大容量のバルクで輸入したチリ産ワインを国内で瓶詰めした500円未満のワインを拡充してきた。

こうした低価格帯のチリワインが多数のライトユーザーを引きつけ、国産・輸入を合わせたワインの市場自体は2015年に3億7900万リットルと、5年間で1.4倍に膨らんだ。

ただ、一過性のブームでは長続きしない。2016年からは市場の停滞が続いている状況だ。消費者の裾野は広がったものの、「低価格ワインが獲得していった圧倒的大多数の消費者は、市場に定着しなかった」と、ワイン業界に詳しい関係者は指摘する。

「低価格ワインを単に“安価なアルコール飲料”とみていた層が、より安価な酒類に流れている」(中小輸入業者)。

その筆頭が、ハイボールやカクテルを含む缶チューハイだ。味の種類が豊富にあり、価格も手頃で飲みやすい。ある大手酒販店のバイヤーは「購買データを見ると、明らかにチューハイへのシフトが進んできている」と話す。

価格訴求はもう限界

大手も低価格化に頭を悩ませている。

国内のワイン市場の最大手はキリンホールディングス子会社のメルシャン。同社の2017年の販売数量は712万ケースと、2010年に比べておよそ3割伸長している一方で、売上高は下落傾向が続いている。2016年度に会計基準を変更しているため単純比較はできないが、2017年度の売上高は653億円と、2010年比で2割ほど縮小している。「500円程度の単価の安い商品に需要がシフトしていったのが要因」(キリンホールディングス)だ。

こうした状況を受けメルシャンは、2018年に入り1000円以上の価格帯のラインナップを拡充、中高価格帯ワインの販売に力を入れ始めた。同社の代野照幸社長は「とにかく低価格化に歯止めをかけたい」と危機感をにじませる。

業界は、市場を活性化させる手立てとして、最近注目を集める日本ワインに期待を寄せる。日本ワインはすべて国産の原料を使って国内で加工されたもので、輸入ワインを国内で加工した国産ワインと区別される。作られた土地柄によって違う個性のワインが味わえるのが魅力だ。

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