背負いリュック、電車内「迷惑行為」の1位に 2018年度の「迷惑行為ランキング」が発表

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リュックを背負っていると、自分の後ろにいる人がどう感じているかはわかりにくい。満員電車であれば、「自分の前に立っている人のリュックがぶつかって痛い」と感じる人もいるだろう。

民鉄協・総務広報部の富井裕広報主幹は、「混雑している列車に乗ったら周囲を見渡して、迷惑にならない持ち方を考えてみてほしい」と話す。JR西日本など関西の鉄道事業者は「車内でのリュックサックは、前に抱えるか網棚の上に置くなど、他の方のご迷惑にならないようお願いします」と呼びかけている。

「最近は若いビジネスマンが“背負いリュック”で通勤するようになってきた。これを苦々しく感じる中年ビジネスマンもいるのでは?」。ある鉄道関係者はこんな見方をする。

確かに一昔前のビジネスバッグといえば、手提げタイプが一般的だったが、その後はショルダーバッグが普及し、今やさらに便利なビジネスバッグに取って代わりつつある。今なお手提げバッグで通勤するビジネスマンから見れば、「自分はマナーを守っているのに、最近の若い者は」と不満に感じるのは理解できなくもない。

マナー改善の兆しも

とはいえ、今回のアンケートからは将来に希望を持てる結果もうかがえる。

「駅や電車内のマナーについて、以前にくらべて改善されたと思いますか」という設問に対して、「変わらない」が43.9%と大勢を占めたものの、28.3%の人が「とても改善された」「少し改善された」と回答。「少し悪化した」「とても悪化した」の24.7%を若干上回った。傾向としては改善に向うといってよい。

過去のランキング推移を見ても、「ヘッドホンからの音もれ」が2009年の2位から今年は5位に順位を下げた例もある。乗客一人ひとりが周囲に気を配って迷惑にならないようにすることで、改善に向う例は確かにある。

とはいえ、ある迷惑行為が改善されると、新たな迷惑行為が登場するのは世の常ともいえる。電車内のマナー向上には不断の努力が欠かせない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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