日本人がまだ活用できていない2つの「資源」 統計データが明らかにする日本の課題と現状

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また、イノベーション指数にも注目したい。日本はインプットでいえば世界の上位レベルであるのに対し、アウトプットは上位国から大きく引き離されている。

これらのデータが意味するのは、日本が高い水準の文化や知識の資源を持ち合わせていながら、それが新たな分野を切り開く力が十分にはなっていないということである。

未来志向の意識を持つことが重要

さまざまな資源の活用が効率的になされていないのは、私たちの意識が過去に引きずられているからのようにも見える。過去の金融危機での苦い経験にとらわれているから、投資が弱いままなのであり、挑戦ができずにイノベーションのアウトプットが少ないとも言える。

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もっとポジティブに、未来志向の意識を持たなければならない。縮こまり志向で内部留保を増やし、節約志向で消費を抑制するのではなく、日本が有するヒト・モノ・カネの貴重な資源を有効に活用する。

つまりきちんと「使う」ことが、一層の豊かさにつながるだろう。持っている資源を有効に活用してこそ、クリエーティブな活動が生まれ、私たちはより豊かに生きることができる。

そのためにも、こうしたデータを活用し、海外諸国と比較しながら、経済を多面的に俯瞰して見ることが欠かせない。自分の属する企業や産業に限らず、世界の動きそのものを見る。そういう視点を身に付ていくことが、一人ひとりに求められている。

中島 厚志 独立行政法人経済産業研究所理事長

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なかじま あつし / Atsushi Nakajima

1952年生まれ。1975年東京大学法学部卒業後、日本興業銀行入行。パリ支店長、パリ興銀社長、執行役員調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員調査本部長などを歴任。2011年より現職。主な著書に『大過剰 ヒト・モノ・カネ・エネルギーが世界を飲み込む』(日本経済新聞出版社)、『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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