日本人がまだ活用できていない2つの「資源」 統計データが明らかにする日本の課題と現状

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日本はよく、イギリス的な成熟国になってきているといわれる。当のイギリスには世界最大の国際金融センターのシティがあり、そこで盛んな投資活動が行われているが、日本にはそうした活動が、経済規模に比べれば非常に小さいと言わざるをえない。

日本の株式市場が海外の投資家の動きで動いてしまうことが往々にしてあるが、それはまさに、日本人が金を投資に回していないことが一因である。

その背後には、金を動かして自分が楽をするなんておかしい、働いて稼がなくてはいけないという古くからの倫理観もある。つつましく生きることが立派なことであり、お金持ちでありながらぜいたくをしないことが立派だと考える。倫理的にはわかるが、経済合理性では、金を持っている人がそれを使わないことには、経済がそこで動かなくなってしまう。

「危機に備える」だけでは身を滅ぼす

企業についても同じことがいえる。内部留保が多く、投資が少ない。なぜ、企業は金を使わないのだろうか。そこには、根強い「将来リスクへの懸念」がある。少子化で人口減少する将来を考えれば今投資できない、という考えだ。

リーマンショックの後、日本は震源地ではないものの主要国の中でも深刻な不景気となった。その前後に、企業が投資と人件費を長期にわたって抑えたことが景気の回復を遅らせた。

日本の企業部門の「貯蓄投資バランス」の収支を見てみると、今もなお収入が支出をかなり超過する状態が続いている。しかも、リーマンショック後の危機的状況を乗り切ったのはいいが、あれから10年が経過した今でも、超過幅は大して縮小していない。

それに対し、アメリカは2008年のリーマンショック時は縮こまったが、そこから時間が経ち、危機的状況から抜け出すにつれ、しだいに積極経営に戻ったため、収支の差がなくなっている。

危機に備えるのは決して悪いことではないが、それをいつまでも続けるのは問題だ。確かに、リーマンショックの直後はまったくと言っていいほど受注がなくなり、輸出が半減した。それにより倒産した企業も少なからずあった。

しかし、それと同じ状況が10年後の今も続いているのだろうか。あるいは、リーマンショック級の危機が、間もなく起きようとしているのだろうか。リーマンショック級のことがすぐ起きかねないと何年も思い続けて縮こまっていたら、ビジネスなどとてもできはしない。企業経営をしているのであれば、きちんと投資をしなければ意味がない。

日本にはもう1つ、十分な活用ができていない資源があることを指摘しておきたい。それは、文化・知的資源である。

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