元広報の彼女が食品ロスを社会に訴える理由 1つ2つの組織で解決できないが是正はできる

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――なかなか解決できない理由について、感じることはありますか?

以前、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の専門家のセミナーで、日本は「目先のことしか考えてない」という指摘がありました。どんどん担当者が異動するので「自分の在任期間のときはこのままでいい」とも。取材していても、担当者から「自分がいるときさえよければOK」みたいなものは感じることがあります。

「ジャーナリスト」として目指すもの

――オーサーを始めた当初はなかった「ジャーナリスト」という肩書を追加したきっかけは?

きっかけというきっかけはないです。自分ではおこがましいなと思っていて……。2017年に、Yahoo!ニュース個人で執筆を始めたことを知った知人から「井出さんは、取材して書いてるんだからジャーナリストだよ」と言われて。取材しているのは事実なので、じゃあ思い切ってつけてみようかなと。腰が引けながら名乗っているというか……私の場合は過去の記事については劣等感しかないです。

Yahoo!ニュース個人のオーサー向けのメールマガジンに、いつも「発見と言論が社会の課題を解決する」という言葉が記載されています。そうそう、それがゴールだよね、と。文章力、編集力、取材力、構成力、その道でずっとやってきたジャーナリストからすると劣っているのは認めざるを得ない。でも、食品ロスという問題を広く認知してもらい、食品ロスという言葉を使う人やマスメディアが取り上げることを増やしたい。それも社会的課題の解決につながる「ゴール」だと思ったら、下手は下手なりに発信するしかない。修行僧みたいな感じです(笑)。

一般の読者の目線に降りることが肝だ、と語ってくださった井上さん(写真:news Hack by Yahoo!ニュース)

そのためにはやはり、一般の読者の目線に降りる。食品ロスは特に、業界の中のヒエラルキーや上下関係があるために商慣習が解決の邪魔をしていることがあります。マスメディアがクライアントに切り込まないなら、そこに切り込んでいきたい。

食品メーカーで広報をしていた際に、大学院で栄養学の博士号をとりました。自分でデータをとって論文を書くのと同時に、プレスリリースも書きました。最初は鳴かず飛ばずだったけれど、3カ月くらい粘ったら全国紙が取り上げてくれ、ラジオ、テレビからも取材が来ました。
一般向けのメディアだと、そこまで深掘りしない。大学の先生は、すごいデータがあるのに一般向けに分かりやすく伝えようとしていない。自分でデータをとって発信する。そこは私のアドバンテージです。

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