「歯周病」を軽視する大人が抱える重大リスク 簡単にできる「舌まわし」が予防に有効だ

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つまり、歯周病を防ぐことは、さまざまな病気のリスクを低減することにつながります。そのためには、正しい歯のケアを行って歯周病菌を徹底的に減らすことが必要です。

口腔ケアの最も基本となる正しい「歯みがき」の方法は、私の著書などでも詳しく解説しているのでそちらに譲り、ここでは、歯周病のリスクを軽減する、いつでもどこでもできる簡単かつ効果絶大な「舌まわし」をお伝えしましょう。

登山家・三浦雄一郎氏も行っている‟舌まわし“

唾液は、すばらしく強力な浄化液です。唾液には、①洗浄作用、②殺菌作用、③保護作用、④中和作用、⑤再石灰化作用という主に5つの作用があるとされており、唾液がしっかり分泌されてさえいれば大きな口腔トラブルは起きないと言われているくらいの優れものです。

この唾液の分泌を促すのが、「舌まわし」です。舌まわしを行うと、顔のまわりにある耳下腺、顎下腺、舌下腺などの「唾液腺」が刺激されて、大量の唾液が分泌されます。

【舌まわし】

1. 唇を閉じたまま、舌先で歯の外側と唇の内側の間を大きくなぞるように、ぐるりと1周させる。2~3秒で1周する速さが理想。目いっぱい舌先を伸ばして行う。

2. これを右回りと左回り、それぞれ20回ずつ行う。

3. 右回りと左回りを1セットとして、朝昼晩の1日3回行う。

簡単なように思えますが、私も始めた当初は、10回を過ぎたあたりから、下の付け根が痛いと感じたほどです。しかし、毎日続けていくうちに、50回くらいは軽く回せるようになります。

『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

舌まわしは道具もいりませんし、場所を選ばずにどこでもできるので、私は移動中の車の中でしょっちゅう行っています。気が向いたときに、無理をせずに行い、少しずつ回数を増やしていきましょう。

舌まわしでたくさん唾液を出すこの方法は、たとえば外出先にいて、歯みがきができないときに、ぜひ活用してください。

ちなみに、唾液に含まれる成長ホルモンの一種「パロチン」には、アンチエイジング効果があります。80歳を過ぎてからエベレスト登頂に成功した、登山家の三浦雄一郎さんは、毎朝この舌まわしを100~150回もやっているそうです。三浦さんの脳と体がいつまでも若い理由は、舌まわしにあるのかもしれませんね。

長谷川 嘉哉 脳神経内科、認知症の専門医

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はせがわ よしや / Yoshiya Hasegawa

1966年、名古屋市生まれ。名古屋市立大学医学部卒業。医学博士、日本神経学会専門医、日本内科学会専門医、日本老年医学会専門医。毎月1000人の認知症患者を診察する、日本有数の脳神経内科、認知症の専門医。祖父が認知症であった経験から2000年に、認知症専門外来および在宅医療のためのクリニックを岐阜県土岐市に開業。これまでに、20万人以上の認知症患者を診てきて、いち早く認知症と歯と口腔環境の関連性に気づく。現在、訪問診療の際には、積極的に歯科医・歯科衛生士による口腔ケアを導入している。さらに自らのクリニックにも歯科衛生士を常勤させるなどし、認知症の改善、予防を行い、成果を挙げている。「医科歯科連携」の第一人者として、各界から注目を集めている医師である。

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