ニセ切符対策で進化、中国の鉄道「現金レス」 「窓口に殺到」は昔の話、スマホで車内出前も
最近、日本でも話題の多いスマートフォンなどを使った電子決済サービス。IT化が急激に進んだ中国でスマホ決済が幅広く普及しているのは日本でもよく知られている。
日銀が発表した調査レポート「モバイル決済の現状と課題」(2017年6月)によると、日本でモバイル決済を行う機能を「利用している」と答えた人は調査全体の6%にとどまる一方、中国都市部の消費者を対象にした調査では回答者の98.3%が「過去3カ月の間にモバイル決済を利用した」と答えたという。
鉄道を利用する際も同様で、切符を買うのに長蛇の列をつくっていた時代はもはや過去のこと。紙の切符や現金支払いは「過去の遺物」になろうとしている。高速鉄道の路線網拡大とともに、その予約発券システムはあっという間にIT化が進展した。はたしてどのような背景があるのか。現地の様子を分析してみよう。
混雑時に現れる「ダフ屋」
日本の10倍以上の人口を抱える中国では、日本と比べ物にならないくらい巨大な鉄道輸送の需要がある。
たとえば例年の旧正月(春節)前後には、都市部から各地方へ帰省する人々の輸送が活発化する。この40日間にわたる「春運」時期の鉄道利用者数は延べ3億8000万人に達し(2018年統計)、大都市の駅はどこも多くの人々であふれる。
そろそろ日本は年末の帰省シーズンだが、「春運」の切符の取りにくさはそれをはるかに上回る。そこに現れるのは乗車券の「ダフ屋(転売屋)」。田舎から都会に出て、今回が初の帰省という人などがターゲットにされてきた。
また、「春運」の時期に限らず、ダフ屋は混み合いそうな列車の切符を大量購入し、それをテキトーな値段を付けて売る……ということが、かつての中国では普通に行われていた。
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