ニセ切符対策で進化、中国の鉄道「現金レス」 「窓口に殺到」は昔の話、スマホで車内出前も
オンライン購入の際の決済方法も変わってきた。以前はデビットカードやクレジットカードなど銀行系の口座から引き落とすのが主流だったが、現在は電子決済サービス(スマホ決済)を通じて行う人がほとんどだ。
中国の電子決済サービスは2系統に集約されており、1つはテンセント(騰訊)が運営する「微信支付(ウィーチャットペイ)」、もう1つはアリババ・グループ傘下のアント・フィナンシャルによる「支付宝(アリペイ)」だ。中国国内の多くの都市では「微信支付」もしくは「支付宝」のQRコードで、地下鉄の改札ゲートの通過や路線バスの乗車も可能となっている。
車内の弁当出前もオンラインで
総延長2万5000kmまで拡大した中国の高速列車網だが、利用者にとって問題の1つが「食事」だ。
一部の列車にはかつて日本の新幹線にも連結されていたビュッフェカーがあるが、電子レンジで温めた弁当しかなく「列車旅でのご飯の楽しさ」は中国でも急速に失われている。そのうえ、高速化で停車時間が短くなったり、セキュリティー上の問題からホーム売店の規模が縮小、あるいは撤去されたりした結果、食事をしたい利用者へのケアが不可欠となっていた。
そんな中、中国の鉄道当局は2017年7月、高速列車(列車番号がGまたはD)について、乗客がスマホで出前を頼める「列車網路訂餐服務(直訳すると列車オンライン食事予約サービス)」を開始した。中国鉄路客戸服務中心の専用サイトを開くと、列車ごとに手配可能な店とそのメニューのリストが見られるようになっている。途中駅の名物を頼むこともできる仕組みだ。
今のところ、所定の締め切り時間(通常は列車が当該駅を発車する1時間前まで)に注文すると、列車員が出前を頼んだ乗客の席まで商品を届けてくれるシステムとなっている。出前を引き受けている駅は中国全土の大都市にある主要駅27カ所だが、北京南駅は含まれていない。また、出前の弁当を調製する店はほとんどが駅構内のレストランやファストフード店となっている。
わずか10数年で著しい発展を遂げた中国の高速鉄道だが、それに関連する周辺インフラも極めて速いペースで変革を遂げている。スマホで車内に出前が頼めるサービスは「人海戦術」が可能な中国ならではの仕組みともいえるが、乗客本位の対応に向け、ITでできることをうまく連携させている点は注目すべきだろう。
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