警備員が足りない!「2019年度問題」とは何か

オリンピックのことを心配する前に…

しかも警備が必要なのは東京だけではない。G20は大阪開催だし、ラグビーW杯は全国12都市で行われる。またオリンピックのテスト大会も種目ごとに開催される。さらにオリンピックの事前キャンプ地や休養地は全国の自治体で誘致活動を行っている。警備はオリンピックのかなり前から始まるのが、これだけイベントが目白押しだと必然的に警備員不足になる。休む間もなく激務に追われることから、警備疲れによるセキュリティー低下が心配である。

オリンピック期間中も警備員不足が懸念される。東京都が作成した大会開催計画文書によれば、オリンピック期間中必要な警備要員5万人(警察官2万1000人、民間警備員1万4000人、ボランティア警備員9000人)で、オリンピック会場などの直接的な警備には、1万4000人の警備員が必要となる。

首都圏では足りないため、全国からかき集められることが予想される。しかし、オリンピックの期間中は観光客が増大するはず(政府は2020年の訪日外国人数4000万人を目標に掲げている)。彼らは東京だけでなく、全国各地の観光地にも足を運ぶだろう。このような観光地はソフトターゲットでもある。誰が警備するのだろうか? 補充しようにも警備員は東京に出払っている可能性がある。

直接テロよりサイバーテロの懸念

都内および近郊の大規模な集客施設や商業施設の警備にも不安が残る。首都圏の人出の多い場所は、オリンピックイヤーならではの混雑に見舞われる可能性が高い。しかし警備員を増員しようにも「いえ、人手が足りません。逆に半分にしてください」などと要請される可能性がある。

余談だが、オリンピックには世界の富裕層が集まるという。彼らは自家用ジェットや自家用ヨットで観戦に来るが、これはサッカーのワールドカップではあまりないことだ。それを立証するかのように、観戦チケット代もホテル代もオリンピックのほうがW杯よりも高い。当然警備コストもハネ上がることになる。

一方、拓殖大学国際学部教授で、安全保障や防衛産業が専門の佐藤丙午(へいご)教授は、「セキュリティー費用が増大してしまうのは致し方のないが、心配すべきトピックは多くない」と話す。

防衛庁防衛研究所出身で、2010年には外務省参与を務めた経験も持つ佐藤教授によると、想定される危機があるとすれば、物理的テロとサイバーテロである。ただし、前者は考えづらく、東京大会で実行される可能性が大きいのは後者だろうという。理由は「日本国内から攻撃する必要がない」からである。

さらに、「懸念があるとすれば、実施状況にかかる部分だろうか。たとえば不測の事態が起きたとき、避難所をどうするのか。ベッドの手配は? 外国人も含めた避難者が本当に段ボールで囲った場所にゴロ寝でいいのか? そんなレベルの話が重要な点になるかもしれない」と話す。

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