国家公務員というと、東京大学が思い起こされるが、公務員への就職者数は307人で35位にとどまっている。国家、地方の内訳は公表されていないが、今年、省庁に就職したのは191人で、2017年より24人減だった。公務員になった人の6割以上が国家公務員ということになる。キャリア官僚になった人の数は断トツと見られる。就職先は国土交通省26人、経済産業省24人、総務省23人、外務省と厚生労働省が17人、警察庁が14人などとなっている。
東京大学は2018年の総合職の国家公務員試験合格者数もトップの329人で、2位の京都大学の151人の倍以上の合格者数だ。ただ、2017年の合格者数372人より、減っている。ある東京大学の教授は「東大では3年に進学するとき、学部への振り分けがあるが、法学部の人気が下がっている。官僚の人気が下がっていることが背景にあると思う。官僚が国会などで追及されたりしているのを見ると、学生が魅力を感じなくなってきているのかもしれない」と語る。
6位は愛知教育大学で、公務員実就職率は66.2%だ。卒業生の3人に2人が公務員になっている。国家公務員は1人で地方公務員が多い。なかでも教員就職者が多く、小学校教員278人、中学校教員107人などとなっている。
公務員実就職率に焦点を当てると、105位の兵庫教育大学の88%がトップ。次いで118位の上越教育大学が82.7%、158位の鳴門教育大学が80.9%、20位の福岡教育大学が65.3%、75位の京都教育大学が64.3%、84位の奈良教育大学が64.1%、200位の私立の山口学芸大学が63.2%と、7大学が6割を超えている。
いずれもが教育が系学部の単科大である。地方公務員志望者の中には、地方自治体が採用を減らす中、教員を目指す人もいるようだ。地方の総合大学でもそうした傾向が多くあり、大都市を中心に教員採用が活発なことも影響しているように見える。
教員系大学は公務員の実就職率が高い
ランキングに戻ろう。7位は立命館大学、8位は千葉大学がランクイン。9位は教員養成に強い文教大学が入った。文教大学は中学校教員の就職者数がトップの138人だ。10位の金沢大学は国家公務員が205人とトップ。金沢大学付属病院への就職者が多いことが影響していると見られる。地方公務員では、石川県庁38人、富山県庁21人、金沢市役所18人などとなっている。
15位の国士舘大学は消防官の就職者数が95人に上り、消防官の就職者数ではトップとなる。警察官も日本大学に次ぐ2位の129人が就職している。近年、警察官は都道府県内での勤務になるため、人気が高い。国立大学をはじめ多くの大学から就職している。148位の日本文化大学は警察官就職者が63人だが、卒業生の44%が警察官になっており、断トツの強さといえよう。法学部の単科大学だが、実就職率も97.9%で、警察官だけでなく、就職に強い。法学部の学部別実就職率では、全体でトップだった。
女子大学では46位の武庫川女子大学が273人でトップ。次いで48位の東京家政大学、64位の聖徳大学と続いた。いずれも教員にいが、なかでも聖徳大は幼稚園教員、保育士ともに就職者数はトップだ。
国の地方創生政策の一環として、大都市の大規模大学の入学者が減らされてきた。そのおかげで、都市部の大学に進学するのをあきらめて、地元の大学に進学する人が増えている。そして「大学進学で地元の大学を選んだのだから就職も地元で」と考える大学生は少なくない。
地元での就職を考えるにしても、安定を望む大学生に受け皿となる地元企業は少ない。文系大学生の人気の地方銀行も、再編やマイナス金利、業務のAI化といった波にのまれ、先行き不透明なところがある。その点、地方自治体は安定しており人気の就職先だ。地方公務員の人気は国家公務員と違って、今後も希望者は増えていきそうだ。大学も公務員試験合格のサポートに力を入れていくと見られる。
【2018年12月26日14時40分追記】立正大学は公務員就職者数が判明し、161人(公務員実就職率7.1%、うち国家公務員13人、地方公務員148人)で82位相当となります。
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