読み書きを鍛えるのに「要約」が最強なワケ 新聞や書籍で簡単に練習できる

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この分類を掛け合わせると、

・知性×ストック(学術書、哲学書、普遍的なテーマのビジネス書など)
・知性×フロー(トレンドの話題や人のビジネス書、ビジネス系雑誌など)
・感性×ストック(小説、詩歌など)
・感性×フロー(軽めのエッセイ、ライフスタイル誌など)

という4領域に分けられます。本を選ぶときに、このバランスが大体取れるように心がけています。「最近はビジネス書(知性×フロー)ばかりで、ちょっと近視眼的になっている気がする……よし、前に買っておいたあの小説(感性×ストック)を読もう」という次第です。

自分で書いて始めて、他人の文章を評価できる

ストックの重い読書ばかりでなく、心理的負担の軽いフローの読書も採り入れる。ある領域に疲れたら別の領域に移る。そういう工夫で、全体として読書を続けている状態を作るようにするわけです。

読解力を培ううえで、実は良い方法が、自分でも文章を書いてみることです。実際にやってみることで初めてわかることというものは多いものです。

・どうしてこんな文体を取るのか
・どうしてこんな文章構成なのか

など。自分が書くからこそ、他の人の文章の技術に気づきやすくなり、まねできる手本が増えます。

『大人に必要な「読解力」がきちんと身につく 読みトレ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

また、書く側に回ってこそ、書き手の工夫や苦悩が感じられるようになるのです。私も昔は、他人の書いた文章を読んで、「何だコレ、プロならもっとうまく書けるだろうに……」とよく毒づいていました。内心、「私のほうが絶対うまいんだけど」とイライラしていました。

ただし、自分がコラムや書籍を執筆するようになって、「きっとこういう事情があって、こういう表現にしたんだろうな」などと想像をすることができるようになりました。

自分で文章を書いてみると、どれぐらい時間を費やすものなのか、どれだけ悩むものなのかを実感できるのです。そうすると、他人が書いた文章に対するリスペクト(尊敬・尊重)の気持ちも出てきます。その人がどれだけの手間暇をかけて書いたのかを想像すれば、脊髄反射的に拒否・反発するような態度を取らなくなるはずです。

「せっかく誰かが手間暇をかけて書いた文章なのだから、何かを伝えようとしたのか、読んでみようではないか」――そうやって何とか理解しようという思いで文章に向き合うことが、読解力の出発点であり、芯なのだと思います。

吉田 裕子 国語講師

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よしだ ゆうこ / Yuko Yoshida

三重県出身。東京大学教養学部超域文化科学科を首席で卒業。現在は都内の大学受験塾で指導し、東大など難関大学の合格者を多数輩出。朝日カルチャーセンター、NHK学園などで、大人向けの講座を担当するほか、NHK Eテレに国語専門家として出演するなどメディアでも活躍。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など。

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