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「寝落ち電話」をSNS投稿するカップルの心理 若者の間で広がる新たな自慢の一形態

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  • 原田 曜平 芝浦工業大学デザイン工学部UXコース教授
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最近の若者のトレンドコーデといえば「シミラールック」である。インスタグラムの投稿件数を見るとおり、まだまだおそろコーデまではいかなくとも、増えているのは確かと言える。

カップルでのシミラールックの例(写真:筆者提供)

シミラールックとは、英語の“similar”に由来しているとおり、おそろいのアイテムではなく、似たようなテイスト(フォルムや柄、ブランドや色など)のアイテムで組み合わせるコーデを示す。カップルだけにとどまらず、友達同士でシミラールックをする若者も少なくない。一見して普通のコーデだと感じても、並んだ姿を見てみれば確かにテイストが似ている、といった合わせ方がシミラールックの特徴として挙げられる。

このシミラールックも「間接自慢」の一形態ということができそうだ。

よりさりげなくアピールできる「シミラールック」

都内の某大学に通うCさんは、友達4人とディズニーランドで遊ぶときにシミラールックをしたそうだ。はじめは全身を全員同じにそろえる「おそろコーデをしよう!」と1人の友達から提案されたCさんたち。しかし、Cさんは全員が全身の服装をそろえることで、ファッションに自分らしさが出なくなってしまうのが嫌だった。それに、おそろコーデ写真をSNSに投稿すると「いかにもな仲よし自慢」になってしまうことも危惧した。

そこでCさんは、シミラールックを提案したのだという。

シミラールックは「おそろコーデ」のように、わざわざ新しい服を買いそろえる必要がなく、もともとお互いが持っている服でコーデができるという、金銭的なメリットもある。

「お互いのセンスは尊重したいし、浪費も避けたい。だけど、さりげなく仲良しアピールはしたい」。シミラールックは、そう考える若者ならではの折衷案的なやり方だということが、Cさんの事例から見てとれる。

シミラールックは誰かが提案した一つのコーデにそろえるだけでなく、自分たちなりのセンスで工夫をして統一感を出すコーデである。カップルでも友達同士でも、それぞれの人に工夫が必要となるため、ファッションセンスはおそろコーデよりも高度なものが求められる。そうした難易度の高い、シミラールックを行うことで、彼氏(彼女)や自分の周りの友達とはただ仲がいいだけでなく、服の価値観やセンスまで合っている関係性なんだ、とアピールすることもできる。これも、うまい間接自慢といってもいいのではないだろうか。

「寝落ち電話」「彼親デート」「シミラールック」、3つの事例に共通して言えることは、自分と彼氏や彼女との関係性の豊かさを、SNSを駆使して間接的に自慢していることである。「寝落ち電話」であれば気兼ねしない関係であること、「彼親デート」であれば誠実な付き合いであること、「シミラールック」であれば共通したセンスや価値観を持っていることである。

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【今の若者は人間関係の「深さ」に重点を置く】

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