ジム・ロジャーズ氏「19年米国は深刻な事態に」 個人投資家はこれからどうすればいいのか

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――では、アメリカや世界の株がこれからさらに下落するとしたら、ロジャーズさんは何に投資しますか? 国債などアメリカの債券ですか? 金? それともキャッシュポジションを厚くしたほうがよいのでしょうか?

その3つの中から選ぶのなら、私はキャッシュポジションを厚くすることを選ぶね。もし、金価格が1トロイオンス(約31.1グラム)あたり1000ドル(約11.3万円、現在は1200ドル台前半で推移)よりも下がることがあれば、金をそれこそたくさん買いたいけれど。債券はいらないな。その3つなら、キャッシュだ。

今は「適切なキャッシュ」を持つべき

ただ、キャッシュなら何でも、というわけじゃない。適切なキャッシュを持たなくちゃいけない。2007年のアイスランド危機の時も、みんなキャッシュはたくさん持っていたのに、国家の通貨が暴落して崩壊してしまった。キャッシュはキャッシュでも、「間違った」キャッシュを持っていたということだ。間違えば、キャッシュだって消滅するリスクがある。私はアメリカドルをそれなりに持っているけれど、それはアメリカドルが今の私にとって適切なキャッシュだと思っているからだ。

――最後に、日本株や日本経済についてはどう思いますか?

うーん、アメリカの株に投資するくらいなら、日本の株に投資する。今はどちらも持っていないけれど。日本の今の株価は、過去の最高値の半額程度だ。安倍晋三首相は株価を上げるためにできることをすべてやる努力をしていると思うし、中央銀行もそうだ。さっきも言ったとおり、私自身はアメリカ株を持っていないし、日本株も持っていないけれど、どちらを選ぶかと言われたら、日本の株に投資するね。

――最近は日本政府も事実上移民政策に乗り出しました。「曖昧戦略」にも見えますが、かねてから「移民政策をとるべき」と言われているロジャーズさんはどう思われますか?

日本人は外国人が嫌いでしょ(笑)。一定の生活水準を保つためには、たくさん子どもを産むか、たくさん外国人を受け入れるかしかない。でも日本はどちらもやらない。だったら、生活水準が下がり続けることを受け入れるしかない。もし私が20歳の日本人だったら、日本から逃げ出していると思うよ。

だって、自分が50歳になった時、自分の国は悲惨なことになっているだろうと思うから。債務は増える一方で、人口は減る一方だ。若者にとっては、悲惨以外の何物でもない。今すぐに考え方を変えて、外国人を受け入れればまだ間に合うかもしれないけど、それをする気がない。私には外国人を受け入れるくらいなら、今よりも悪い国、環境、生活水準を受け入れるほうを選んでいるように見える。あなたたちの国のことだから、好きにすればいいけれど。

(翻訳協力 ES NETWORKS ASIA GLOBAL PTE. LTD. 高尾涼子)

江連 裕子 経済キャスター、社外取締役

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えづれ ゆうこ / Yuko Ezure

セント・フォース所属(cent.FORCE Blog)。経済キャスター(ラジオNIKKEI「ザ・マネー」)のほか、専修大学アナウンサー講座講師、経済・企業セミナーの司会・モデレーターに加え、株式会社エスネットワークス株式会社グルメ杵屋の社外取締役。「TBSニュースバード」キャスター、フジテレビ経済部専属経済レポーター、テレビ東京「モーニングサテライト」天気キャスター、KPMG税理士法人を経て、日経CNBCメインキャスターに最年少で就任、9年間担当。テレビ東京「Mプラス11」マーケットキャスター、ラジオNIKKEIでも10年以上にわたり多くの経済番組を担当。

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