4000万円の家は「増税」でいくら高くなるか ライフプランや税制優遇の見極めも重要だ

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4点目の「税制優遇」は消費増税とは密接な関係があり、消費税率が5%から8%になった際の大幅な拡充路線上にある今は、過去最高水準の税制優遇が実施されています。

住宅ローンの年末残高の1%が所得税・住民税から還付される「住宅ローン控除」は、10年間にわたり、対象となる年末残高が5%のときの2000万円から4000万円(長期優良住宅・低炭素住宅なら5000万円)に拡充されています(中古住宅の場合は、そもそも物件価格に消費税がかからないため、拡充対象とはならず2000万円まで)。

なお、各種税金(印紙税や登録免許税など)の負担も、低廉に抑える措置が継続中です。また、親から資金贈与を受ける際に贈与税を非課税にできる特例があり、消費税率8%時の上限額は810万円ですが、10%になると2610万円まで拡充されることが決まっています(2020年3月31日までに契約する場合)。

年収775万円以下で使える給付金

このほか、「すまい給付金」によって、年収510万円以下の人が住宅購入する際には最大30万円(妻が専業主婦で中学生以下の子どもが2人いる世帯の場合の目安)の給付を受けられます。

年収が高くない人は住宅ローン借入額も当然少なくなるので、住宅ローン控除対象の年末残高を4000万円に拡充しても恩恵が受けられないのではとの考えから、消費税率が8%になった際に新たに導入されました。消費税率が10%にアップする際には、775万円以下(目安)を対象に最大50万円の給付に拡充することが決まっています。

この「住宅ローン控除」の拡充と「すまい給付金」の新設によって、消費税率8%から10%へのアップによる影響は吸収できると、当初は考えられていました。ですが、想定より景気の回復が遅れているため、さらなるテコ入れとして、現在、住宅ローン控除の拡充が検討されている状況です。

これから家を買おうかなと思ったら、税制優遇の動向だけでなく、他の視点も交えながら、わが家に合った購入タイミングを検討してみてください。

手に入れた家の物件価格に何%の消費税がかかるかは、基本的には引き渡しのタイミングによります。2019年9月末までに引き渡しを受けられれば8%、10月1日以降なら10%です。

ただし、引き渡しが2019年10月以降になるケースであっても、契約を2019年3月末までに済ませていれば8%でOKという特例が用意されていることをご存じでしょうか。知っている人はすでに早めにアクションを起こしています。

新築マンションを購入したいという人の例で言えば、住宅ローンの審査に通過し、売買契約が2019年3月末までに済めば、マンションの完成・引き渡し・入居が10月以降になっても消費税率8%で計算されます。物件探しから契約までは通常2~3カ月ほどかかるため、絶対に8%でと考えている人は早めの情報収集がおすすめです。

竹下 さくら ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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たけした さくら / Sakura Takeshita

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社の営業推進部および火災新種業務部、生命保険会社の引受診査部門の勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。個人向けコンサルティングを主軸に講演・執筆を行う。『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など著書も多数。

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