70歳以降も働きたいシニアが8割もいる背景 自営業者は「生涯現役」を希望する人が多い

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何歳ごろまで収入の伴う仕事をしたいですか(写真:DragonImages/istock)

あなたは何歳くらいまで働きたいと思っていますか? 数年前であれば、「引退は定年の60歳」と答える方が多かったかもしれません。しかし、人生100年時代を迎える今後は、そうもいかなくなりそうです。

10月22日、政府は成長戦略の立案を担う「未来投資会議」を開き、人生100年時代を踏まえた雇用制度の改革案について議論しました。安倍晋三首相は「70歳までの就業機会の確保を図り、高齢者の希望・特性に応じて、多様な選択肢を許容する方向で検討したい」と述べ、早期に法案を提出する方針を示しています。

高年齢者雇用安定法が改正されて5年。65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%と制度上は65歳までの雇用対応はほぼ浸透したと言って過言ではありません。しかし、「いきなり5歳も延長?」と思う方もいるでしょう。

高齢者の体力も約5歳若返っている

未来投資会議において、高齢者の体力・運動能力はこの10年強で約5歳若返っている、というデータが示されました。今の70歳前半の高齢者の運動能力は、14年前の60代後半と同じであり、健康状態だけで見れば、高齢者の就業率は現在より大幅に高い水準になる余地があると見立てています。

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また、現在働いている60歳以上の高齢者に「何歳ごろまで収入の伴う仕事をしたいか」質問したところ、70歳以降も働くことを希望する人が「8割程度」にも上ると指摘しています。

内閣府の「高齢者の日常生活に関する調査」(2014年)を見ると、就業形態別では、正規の社員・職員、非正規の社員・職員で「70歳くらいまで」(正規の社員・職員32.2%、非正規の社員・職員27.9%)、農業漁業、自営業・個人事業主・フリーランスで「働けるうちはいつまでも」(農林漁業53.6%、自営業者など53.1%)とする割合が高くなっている点に着目したいところです。

「希望する高齢者に就業の機会を」というのは、確かにそのとおりです。ただ、その背景には経済的ニーズがあることも忘れてはなりません。自営業などの場合、40年間保険料を納めても、国民年金のみであれば、毎月の年金額は6万4941円(2018年)です。

十分な蓄えがなければ「働けるうちはいつまでも」と言いたくなるかもしれません。もっとも、会社のように自営業は定年制がありませんので、いつまでも元気であれば働きたいという希望があるのは頷けるところです。

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