東京五輪も争点となる台湾「住民投票」の行方

統一地方選で渦巻くポピュリズムとフェイク

台湾でスポーツ行政を担当する体育署は、「選手の出場権利を守ることが最優先である」と表明。台湾のオリンピック委員会も、有権者に名称変更を問う住民投票で反対票を投じるよう求めている。複数の台湾のスポーツ選手が、オリンピックに参加できなくなることを危惧している状態だ。

もう一つ、日本が直接関係する住民投票がある。2011年の福島第一原発事故によって始まった、日本産食品の輸入規制を継続するかを問うものだ。現在、台湾は福島とその周辺の計5県からの食品輸入を禁止。台湾社会では「核食」として、安全性に対する疑念がいまだに強く、禁輸解除が行われていない。

住民投票が成立すれば、2年間は禁輸を解除できない

もともと国民党の馬英九前政権時代に、「友日」という方針で日本との関係発展のために禁輸措置を解除する議論はあった。だが、世論や当時野党だった民進党の一部が反対し、断念した経緯がある。今度は民進党の蔡政権が日本との関係を重視する中で禁輸措置解除を目指したが、世論と国民党の反発に遭い、決められない状態が続いている。

禁輸解除は台湾国内の問題であり、仮に住民投票が成立すれば、事実上2年間は解除できないことになる。日本の対台湾窓口機関・日本台湾交流協会の沼田幹夫代表(駐台大使)は、「失望している」との声明を出しており、日台関係への影響が懸念される。

いずれの住民投票も社会課題や台湾の人たちの問題意識に根ざすものだが、現状は政権への不満を訴える場となっている。たとえば禁輸解除に関する住民投票は国民党が主導した案件。国民党には住民投票を統一地方選と連動させて、政権批判票を取り込みたい思惑がある。

蔡政権への不満の現れは、住民投票に限らない。もっとも顕著なのが、台湾南部の中心都市、高雄市長選だろう。

高雄市は歴史的に民進党が強い地盤を持ち、20年間、同党が市政を担い続けている。当初は、民進党の候補者選びとなる党内予備選挙が実質の「市長選」だとされた。地元出身で前国会議員の陳其邁氏が候補者になると、市長選は「寝てても勝てる」と言われた。

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