沖縄が台湾人の「日帰り観光」を喜べない現状 買い物に近いから人気? 遠いハワイの背中
9月中旬の平日、沖縄県那覇市。市内を走るモノレールから降りた30代の台湾から来た夫婦が、小走りで繁華街の国際通りに向かっていた。「急いで何かあったのか?」と聞くと、「今からドラッグストアとドン・キホーテに行く」と回答があった。
そのまま記者が「観光の取材をしているので話を聞かせてくれ」と、ついて行くと、この台湾人の夫婦はメモを片手に大手チェーンのドラッグストアを訪れた。「すでに入国審査時の混雑で予定より30分以上遅れている」と手慣れた様子で商品をかごに入れていく。
台湾人の夫婦は、この日の朝7時(現地時間)に台湾を出て、那覇空港に午前9時半ごろに到着。このドラッグストアでの買物の後、午後1時ごろにレンタカーを借りて、沖縄本島の南部にあるアウトレットモールと中部にあるショッピングモールに行き、午後7時に那覇空港に戻り、午後9時過ぎの飛行機で台湾に帰る計画だという。文字通り「日帰り海外旅行」の強行軍だ。
奥さんは「沖縄に買い物で来るのは3回目。ただ、格安航空会社(LCC)を使った日帰りは初めて」と話す。
夫婦は共働き。これまでは週末に1泊2日で沖縄を訪れていたというが、週末は航空券もホテルも高いことから平日に1日だけ休みを取って、旅費を抑えたという。「飛行機代はいつもの3分の2くらい。宿泊費も浮いて、その分買い物に余裕もできる」(奥さん)と満足げだ。
急増するクルーズと日帰り訪日客
沖縄の観光産業が急成長を続けている。観光客数は2012年の592万人から2017年には958万人とほぼ倍増。同年にハワイを訪れた観光客数(938万人)を超えたほか、観光収入も同期間で3997億円から6979億円へ伸びた。
9月30日に投開票される沖縄県知事選の各候補者も、経済振興の中で「観光客1500万人受け入れ体制整備と観光収入倍増」(佐喜真淳氏)や「沖縄観光に新たな付加価値をつけ、1200万人超えを」(玉城デニー氏)とそれぞれ観光を重視した数字目標を掲げる。
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