沖縄が台湾人の「日帰り観光」を喜べない現状

買い物に近いから人気? 遠いハワイの背中

観光客数の増加を牽引するのが外国人観光客(インバウンド)だ。2017年の日本国内からの観光客数は約7割を占めるが、伸び率は数パーセント増にとどまった。一方、インバウンドは前年比26.4%増と急激な増加が続く。このうち、6割以上を台湾や中国からの観光客が占めている。

那覇港に入港した、中国と台湾から来た2隻のクルーズ船(記者撮影)

特に増加が顕著なのがクルーズ船だ。沖縄県への寄港回数は2012年の125回から、2018年は662回を予定し急増中。2017年度には外国人観光客の36%はクルーズ船などの海路を利用。伸び率も空路が約19%増に対し、海路は約42%増だ。

空路では那覇空港が増設中の2本目の滑走路が2020年に使用開始予定だが、発着枠は現在より10~30%増にとどまる見込みだ。一方、クルーズ船の停泊場所としては沖縄本島だけでも那覇港、中城(なかぐすく)湾港、本部港など複数ある。さらなる旅客ターミナル整備などが着実に進み、受け入れ体制が強化されている。

クルーズ船を利用する乗客にもメリットがある。飛行機と違い、手荷物の重量制限がない点だ。クルーズ船からは空のスーツケースを携えた旅行者もいて、ショッピングを楽しんでスーツケースに購入した物をいっぱいにして船に戻る人も少なくない。

さらに最近増えつつあるのが、冒頭で紹介した台湾から「日帰り」で沖縄を訪れるインバウンドだ。台北から那覇までは飛行機で約1時間15分。航空便も朝夕にそれぞれ複数あるため、日帰りは容易なのだ。

沖縄でインバウンド事業を手掛ける沖縄大栄の馮楚揚(ひょうそよう)執行副社長は「台湾から沖縄本島に来る旅行者の10人のうち1~2人は日帰りになりつつある」と話す。

沖縄観光ではなく、"日本”でショッピング

ただ、こうした台湾や中国からのインバウンドが沖縄で楽しみとしているのは、観光ではなく「ショッピング」だ。しかも、目当ては沖縄の特産物ではなく薬局で売られている医薬品や、ショッピングモールで売られている価格が安いアウトレットのブランド品などだ。

現地の観光関係者は国際通り周辺にある薬局の店舗数が、この数年で4倍近くに増えたと指摘。北海道を中心に「サツドラ」ブランドのドラッグストアを展開するサッポロドラッグストアーは、2016年以降、沖縄県内で4店舗を展開。進出当時、国内では北海道内にしか店舗がなかったが、沖縄のインバウンド消費を取り込むためにいきなり最南端に進出したのだ。

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