ディズニーが認めた「シチズン」腕時計の実力 社長が語る創業100年老舗メーカーの挑戦

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――嗜好品としてコト消費に腕時計の価値を見出すのであれば、スマートウォッチのような機能は不要なのでは?

フォッシルとの提携でスマートウォッチ分野に本格進出するのは機能面の問題だけではない。人々が時計を所有する価値はそれぞれ変わってきている。たとえば腕時計を健康管理に使いたい人がいるのであれば、それに合わせた時計があってもいい。もちろん機能は付いているが、デザインが好きだから身に付けているというのでもいい。実際、腕時計に付いている機能を使っていないという人は大勢いるだろう。

戸倉敏夫(とくら・としお)/1949年東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業。1973年シチズン商事入社。2002年同社取締役。2004年シチズン時計執行役員。2009年シチズンホールディングス(現シチズン時計)常務取締役。2012年より現職。(撮影:風間仁一郎)

ただ好みが多様化している以上、腕時計にそれぞれの人に合う機能を付け加えて買ってもらう可能性を広げていく努力はしたい。シチズンが展開しているすべての腕時計に同一の機能を入れていこうという発想ではない。スポーツで使うのか、リラックスした空間で使うのかなど、利用シーンに合わせた腕時計を提供していきたい。

この点ではディズニーの公式時計契約でも、その時々のシーンに合わせたマーケティングが効果的なことを実感している。

体験型イベントで時計の良さ伝える

――時計の価値を訴求する方法も変わっていきそうです。

新聞や雑誌、ネットに広告を出すだけでなく、体験型イベントを増やしている。100周年を迎えた今年は、東京ミッドタウン日比谷など全国5都市の会場で商品を展示して触ってもらうイベントを展開した。「シチズンの時計はこんなに薄いのか」「思ったよりも軽いね」「電池交換不要なんだ」など、驚きの声をもらった。

小さな規模でもイベントをやり続けたい。腕時計はデパートでもなかなか触れないし、ネットではなおさら触れない。体験型イベントで腕時計のおもしろさを伝えていく努力が必要なのだと実感した。

これはシチズンに限らず腕時計業界全体でやっていくべきことだろう。国内では「ジャパン・ウォッチ・コレクション」という年2回開いている流通業者向けのイベントを一般向けに公開したっていい。業界内でも議論を深めていいのではないか。薄れている腕時計への意識を呼び戻すためにやれることはまだたくさんある。技術力の向上とあわせてもがき続けていきたい。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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